映画「ロストハイウェイ」は鬼才デイヴィッドリンチ監督による97年の作品だ。
今回は2回目の鑑賞だ。あまりに不可解な展開なので、感想を書いていない。だからと言って不満足なわけではない。
デイヴィッドリンチ監督「マルホランド・ドライブ」はすばらしい作品だと思う。夢と現実の見極めができなくなる。この作品も見直してみるとリンチワールドの典型のような映画だ。ただこの映画の展開を一度見ただけで理解するのは無理だと思う。よくわからないなあと感じながら見終わった後、もう一度dvdを見直して、ディテイルを確認した。牢屋の中の人物が入れ替わっているという超能力じみた世界はあるが、あとは筋がつながっていくことに気づく。全部が虚構の世界ではない。
真っ暗なハイウェイのセンターライン上を走る光景がタイトルバックだ。
サックス奏者フレッド(ビル・プルマン)は妻レネエ(パトリシア・アークエット)と2人で暮らしていた。ある朝、疲れ切った様子のフレッドが自宅にいるとインターホンが鳴る。男の声だ。「ディック・ロラントは死んだ」
その翌日から自宅の玄関先にビデオテープが届く。それは封筒に入れてアプローチ階段に置かれていた。妻のレネエと2人で見てみることにした。それは、彼らの自宅が外部からほんの数秒映されているというものだった。不動産屋が置いていったのかと思った。翌日も同じようにビデオの入った封筒が置かれていた。家の中を廊下、リビングから寝室までカメラが入り、2人がぐっすり寝ているところが映されていた。2人はあわてて警察に連絡した。
その夜、レネエの友人アンディのパーティに夫婦で出席する。白塗りの奇怪な顔の男(ロバート・ブレイク)がフレッドの前に現れる
。「前に会ったことありますね」
フレッドは「記憶にありませんよ」
「私はあなたの家にいるのですよ」
フレッドが彼の言うまま、自宅に電話してみると、目の前の男の声が自宅から響く。パーティ主に聞くと、彼はディック・ロラントの友人という。混乱したまま妻と帰宅する。誰かがいるかと懸命に探すがいない。そしてフレッドに、またビデオの封筒が。。。映っていたのは何とレネエのバラバラ死体の前にいる自分だ。
刑事に殴られ、妻殺しを罵倒される。フレッドは殺しの記憶がない。裁判の結果、妻殺しの容疑で彼は死刑を宣告される。ところが、独房にいたはずのフレッドは、いつしか別人の修理工の青年ピート(バルサザール・ゲティ)に変わっていた。
このあとピートを中心にストーリーが展開される。
フレッドはいったいどうなってしまったのであろう?と思いながらストーリーを追う。
ピートが働いている自動車工場の上客エディとその情婦と思しきアリスが登場する。
アリスの顔に見覚えがある。そうだフレッドの妻と同じではないか
(謎解き映画)
デイヴィッド・リンチの映画には謎が多い。この映画も同様だ。
黒澤明の映画「羅生門」は芥川龍之介の小説「藪の中」を題材にしている。芥川龍之介は小説の中で、3人の登場人物にある事実を語らせている。その内容を三船敏郎、京マチ子、森雅之の3人が演じた。そして黒澤明なりの解釈を通りがかりの男こと志村喬に語らせる。それが一番正解に近い気もしてくる。黒澤は4人の中でどれが正しいか?選択させようとしているが、必ずしもどれが正解と言っているわけではない。「羅生門」の最後に無情とも言うべき言葉が流れる。。
この映画でも謎だらけの映像を客席に向かって放つ。謎解きを観衆に想像させるのだ。これは難問だ。ネットを追っていくと、すばらしい解釈をしていらっしゃる方がいる。大したものだ。でも全部には賛同できない。自分なりにこうかと思うこともあるが、言葉にならない。
この映画の解釈にも正解はないと思う。
(リンチの得意技)
謎の奇怪な顔をした男を登場させる。いつもリンチはそれらしき奇怪な人物を映画に放つ。「マルホランド・ドライブ」でいえばカウボーイだ。いつも後味が悪い連中たちだ。
この男はその中でも特別に気味が悪い。単なる故買屋という存在でもないだろう。殺された女の幻なのであろうか?これもいか様にも解釈できる。こう書いているうちにも訳がわからなくなる。
(豊満なバストをもった女性)
デイヴィッドリンチ映画に共通するのが、豊満なバディをもった女性の登場だ。マルホランドドライブでもスレンダーなナオミワッツに対比させるようにドキッとさせるようなバディの持ち主ローラ・エレナ・ハリングを登場させる。ここでも同様だ。
バーで知り合った男アンディに紹介されて、悪のアジトに連れて行かれる。そこにはマフィアの親分がいて、彼女は一枚一枚脱がされる。バックでは「アイ・プット・ア・スペル・オンユー」が流れる。CCRも歌っていたが、この曲いろんな映画で使われる。名画「ストレンジャー・ザン・パラダイス」でも使われる。スクリーミン・ジェイ・ホーキンスによる原曲だ。「ロストハイウェイ」のバージョンは2つとまた違う。いかにもリンチ映画らしい怪奇的ムードだ。「お前に呪いをかけてやる」と訳せばいいのであろうか?いかにも歌詞通りに自我を忘れたパトリシア・アークエットが脱いでいく。呪いにかかった表情がエロティックな場面だ。これもリンチの得意技だ。
自分なりの謎解きについても書きたかったが、ブログ書こうと風呂に入ったら頭脳の中が錯綜する。
訳がわからなくなる。
(参考作品)
今回は2回目の鑑賞だ。あまりに不可解な展開なので、感想を書いていない。だからと言って不満足なわけではない。
デイヴィッドリンチ監督「マルホランド・ドライブ」はすばらしい作品だと思う。夢と現実の見極めができなくなる。この作品も見直してみるとリンチワールドの典型のような映画だ。ただこの映画の展開を一度見ただけで理解するのは無理だと思う。よくわからないなあと感じながら見終わった後、もう一度dvdを見直して、ディテイルを確認した。牢屋の中の人物が入れ替わっているという超能力じみた世界はあるが、あとは筋がつながっていくことに気づく。全部が虚構の世界ではない。
真っ暗なハイウェイのセンターライン上を走る光景がタイトルバックだ。
サックス奏者フレッド(ビル・プルマン)は妻レネエ(パトリシア・アークエット)と2人で暮らしていた。ある朝、疲れ切った様子のフレッドが自宅にいるとインターホンが鳴る。男の声だ。「ディック・ロラントは死んだ」
その翌日から自宅の玄関先にビデオテープが届く。それは封筒に入れてアプローチ階段に置かれていた。妻のレネエと2人で見てみることにした。それは、彼らの自宅が外部からほんの数秒映されているというものだった。不動産屋が置いていったのかと思った。翌日も同じようにビデオの入った封筒が置かれていた。家の中を廊下、リビングから寝室までカメラが入り、2人がぐっすり寝ているところが映されていた。2人はあわてて警察に連絡した。
その夜、レネエの友人アンディのパーティに夫婦で出席する。白塗りの奇怪な顔の男(ロバート・ブレイク)がフレッドの前に現れる
。「前に会ったことありますね」
フレッドは「記憶にありませんよ」
「私はあなたの家にいるのですよ」
フレッドが彼の言うまま、自宅に電話してみると、目の前の男の声が自宅から響く。パーティ主に聞くと、彼はディック・ロラントの友人という。混乱したまま妻と帰宅する。誰かがいるかと懸命に探すがいない。そしてフレッドに、またビデオの封筒が。。。映っていたのは何とレネエのバラバラ死体の前にいる自分だ。
刑事に殴られ、妻殺しを罵倒される。フレッドは殺しの記憶がない。裁判の結果、妻殺しの容疑で彼は死刑を宣告される。ところが、独房にいたはずのフレッドは、いつしか別人の修理工の青年ピート(バルサザール・ゲティ)に変わっていた。
このあとピートを中心にストーリーが展開される。
フレッドはいったいどうなってしまったのであろう?と思いながらストーリーを追う。
ピートが働いている自動車工場の上客エディとその情婦と思しきアリスが登場する。
アリスの顔に見覚えがある。そうだフレッドの妻と同じではないか
(謎解き映画)
デイヴィッド・リンチの映画には謎が多い。この映画も同様だ。
黒澤明の映画「羅生門」は芥川龍之介の小説「藪の中」を題材にしている。芥川龍之介は小説の中で、3人の登場人物にある事実を語らせている。その内容を三船敏郎、京マチ子、森雅之の3人が演じた。そして黒澤明なりの解釈を通りがかりの男こと志村喬に語らせる。それが一番正解に近い気もしてくる。黒澤は4人の中でどれが正しいか?選択させようとしているが、必ずしもどれが正解と言っているわけではない。「羅生門」の最後に無情とも言うべき言葉が流れる。。
この映画でも謎だらけの映像を客席に向かって放つ。謎解きを観衆に想像させるのだ。これは難問だ。ネットを追っていくと、すばらしい解釈をしていらっしゃる方がいる。大したものだ。でも全部には賛同できない。自分なりにこうかと思うこともあるが、言葉にならない。
この映画の解釈にも正解はないと思う。
(リンチの得意技)
謎の奇怪な顔をした男を登場させる。いつもリンチはそれらしき奇怪な人物を映画に放つ。「マルホランド・ドライブ」でいえばカウボーイだ。いつも後味が悪い連中たちだ。
この男はその中でも特別に気味が悪い。単なる故買屋という存在でもないだろう。殺された女の幻なのであろうか?これもいか様にも解釈できる。こう書いているうちにも訳がわからなくなる。
(豊満なバストをもった女性)
デイヴィッドリンチ映画に共通するのが、豊満なバディをもった女性の登場だ。マルホランドドライブでもスレンダーなナオミワッツに対比させるようにドキッとさせるようなバディの持ち主ローラ・エレナ・ハリングを登場させる。ここでも同様だ。
バーで知り合った男アンディに紹介されて、悪のアジトに連れて行かれる。そこにはマフィアの親分がいて、彼女は一枚一枚脱がされる。バックでは「アイ・プット・ア・スペル・オンユー」が流れる。CCRも歌っていたが、この曲いろんな映画で使われる。名画「ストレンジャー・ザン・パラダイス」でも使われる。スクリーミン・ジェイ・ホーキンスによる原曲だ。「ロストハイウェイ」のバージョンは2つとまた違う。いかにもリンチ映画らしい怪奇的ムードだ。「お前に呪いをかけてやる」と訳せばいいのであろうか?いかにも歌詞通りに自我を忘れたパトリシア・アークエットが脱いでいく。呪いにかかった表情がエロティックな場面だ。これもリンチの得意技だ。
自分なりの謎解きについても書きたかったが、ブログ書こうと風呂に入ったら頭脳の中が錯綜する。
訳がわからなくなる。
(参考作品)
マルホランド・ドライブ | |
リンチワールドの最高傑作 | |