映画とライフデザイン

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映画「ミツバチと私」ソフィア・オテロ

2024-01-08 20:26:09 | 映画(欧州映画含むアフリカ除くフランス )
映画「ミツバチと私」を映画館で観てきました。


映画「ミツバチと私」性同一性障害に悩む8歳の男の子を取り巻く家族の戸惑いを描いたスペイン映画だ。スペインの女性監督エスティバリス・ウレソラ・ソラグレの初監督作品だ。主役を演じたソフィア・オテロベルリン映画祭で最優秀主演俳優賞(男女に区別はなくなった)を受賞している。LGBT系の映画は合うのと全くダメなのとに分かれる。写真を見ると、女の子っぽい主人公がかわいい。まだまだ幼いし、同性愛的映画のいやらしさもないだろう。ふと、小学校3年前後の自分のことが脳裏に浮かびこの映画を観てみたくなる。

スペインのバスク地方、母アネ(パトリシア・ロペス・アルナイス)と姉、兄と8歳の男の子アイトール(ソフィア・オテロ)が夫を家に残して夏のバカンスに母親の実家に帰る。アイトールは自らを男の子扱いされるのを嫌がり、女の子のような髪型で自らをココと呼んでいた。母親の親族からはもっと男の子っぽく髪を切れと言われても本人は従わない。母親はそんなアイトール(ココ)をかばっていた。

実家はミツバチを育てて蜜をとる養蜂業に代々携わり、父親ゆずりでアネも実家の工房で彫刻に専心している。アイトールは、母親がかまってあげられないので、自分の性に対する疑問により敏感になってきている。その悩みをオバに打ち明ける。


目線をグッと下げて観ると、8歳の子どもの悩みが伝わる。
女性監督が絶好のキャストを得て女性目線の強いドラマづくりをする。

ソフィア・オテロありきの映画である。古今東西の映画で、こんなに女性的にかわいい男の子っていただろうか?自分には思いつかない。女性監督エスティバリス・ウレソラ・ソラグレオーディションで主演ソフィア・オテロを選んだ。このキャスティングだけで成功は約束されたようなものだ。奇跡的な出会いと言える。もう少し年を重ねたら、この映画は撮れないのだ。ソフィアありきで物語をつくっていく。

回想シーンで幼いときのトランスジェンダーの姿を映す映画はあっても、子供自体の性同一障害がメインになる映画は記憶にない。

映画では、アイトールことソフィア・オテロ手持ちカメラで丹念に追っていく。髪の毛は肩まで掛かり女の子並みの長さだ。母親の実家に行って、親族や周囲から男の子っぽくした方がいいのではと言われ続ける。立ちションもするけど、まだお寝ショもしてしまう。プールに行ってもバスローブをしたままで水着にあえてならない。女子更衣室に入ると、同世代の女の子から男の子なのに何でいるのと言われてしまう。そういったエピソードが続く。そして、その悩みが次第に強くなってくる。


母親アネの目線も追っていく。ミツバチの養蜂業の家業を持つと同時に、彫刻にも造詣が深い家計だ。アネは彫刻に強い思いが残っていて、実家の工房に入ると諸事が目に入らない。連れてきた子どもたちのことも眼中に入らなくなる。


アイトールはやさしいおばさんと親しく時間を過ごす。「死んで生まれ変わったら女の子に生まれ変われるかなあ。」とビックリするようなことをおばさんに言うと、「既に女の子だよ」とおばさんは言ってくれる。そして、おばさんは母親アネにもっとアイトールの話を聞いてやってくれと忠告する。素直でない母親は反発する。このあたりの女性同士の関係や夫との関わりなど、女性監督ならではの視点を感じる。女性の方が感じることが多いのではないか。


実はソフィア・オテロ男の子なのか女の子なのか書いている途中でもわからなかった。ベルリン映画祭の授賞式の写真で初めてわかった次第だ。映画の中での振る舞いは極めて自然だ。演技を超越して、わざとらしさがない。すばらしい。大女優ナタリーポートマンやスカーレットヨハンソンが子役で登場したときを連想させる天才の登場だ。


自分が8歳の頃は家庭学習は全くやらず、成績も良くなかった。授業で手を挙げることはなかった。でも、出来がわるい自分を見かねて女の子たちが遊んでくれた。女の子が遊ぶタミーちゃんとかの人形を買って一緒に遊ぶ女性的な毎日だった。自分で呼べないのに誕生日になると、次々と女の子が来てくれた。母があわてて不二家にケーキを買いに行った光景を思い出した。映画のようなことはなかったが、普通に男の子っぽくなる転機が来たのはその直後だったかもしれない。

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