中国映画「兎たちの暴走」を観てきました。
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映画「兎たちの暴走」は中国映画、内陸部の工業都市で起きた殺人事件を描くクライムドラマだ。実際の事件にもとづく。中国映画でも裏びれた町の一角での泥くさい犯罪モノは好きだし、ピックアップして観ている。今年はじめに日本公開された「シャドウプレイ」も中国の裏事情にスポットをあてた自分が好きなタイプの映画だった。同じスタッフが今回参加しているという。2020年に映画祭に出品された映画が今さら公開というのもずいぶんと遅い気もするが、興味深い。でも、公開館は少ない。
中国四川省の工業都市の女子高校生シュイチン(リーゲンシー)は、父と継母と弟と暮らしている。しかし、継母とは折り合いが悪い。その街に一歳の時に別れ大都市に移った実母チューイン(ワンチェン)が帰ってくる。ダンサーの母親は感傷的にならず冷静だが、シュイチンは実母に接近する。ところが、実母は200万元の多額の借金があり、黒社会筋のヤミ金の取立てに追われていて、しかも期限が迫っていた。
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女性監督らしくきめが細かい。あらゆる映像に目が行き届いた感触をもつ良作である。
女の子の微妙な心理状態がよく描かれている。エンディングなどに欠点もあるけど、掘り出し物の一つだろう。
ポイントは、継母といい関係が築けない女の子のもとに、幼い頃に別れた母親が身近なところに戻ってくる時に女の子が感じる心の動きだ。その母親は美しく、スポーティーな黄色のクルマを乗りまわし、学校で仲間にもダンスを教えてくれる自慢の母親だ。再会できて誰よりもうれしい。その実母が怪しい奴らに追われている。しかも、多額の借金をしていて、遠方から取り立てが来ている。何とか実母を助けなければという健気な気持ちだ。そこでインチキ誘拐事件を装って友人の実家からカネを引き出そうと企むのだ。
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実質主役とも言える高校生を演じるリーゲンシーは、「初恋のきた道」の頃のチャンツィーを彷彿させる純真な少女だ。一歳の時に自分を捨てた母親だけど、実母には違いない。母親を慕う気持ちで犯罪に加担した主人公が実に切ない。珍しく実際の犯人に同情心を持ってしまう。
ここでは、主人公シュイチンの友人として2人女の子を登場させる。1人は家は裕福なんだけど、意地の悪い子でいわゆる女のいやらしさを兼ね備えている。もう1人はモデルになるくらいの美貌をもち金持ちから自分の養女にしたいと言われている子で、心配性の実父から虐待を受けている。この2人の使い方は女性監督ならではかもしれない。ストーリーのネタバレになるので言わないが、事件にも関わってくる。
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つい最近も韓国映画「あしたの少女」で女性監督が巧みに脚本監督をこなしたが、ここでもシェン・ユー監督が巧い。四川省といっても広い。今回の舞台となる工業都市は中核都市成都とは700km以上離れている。東京から青森の距離だ。金沙江と言う川に沿った工業都市で,煙突から煙がもうもうと出ている。実際には別の都市で起きた事件のようだが,ロケハンがうまく良い撮影地を見つけて,現地の高校生たちにも協力してもらったようだ。その辺の配慮が映画を見ているとよくわかる。
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映画「兎たちの暴走」は中国映画、内陸部の工業都市で起きた殺人事件を描くクライムドラマだ。実際の事件にもとづく。中国映画でも裏びれた町の一角での泥くさい犯罪モノは好きだし、ピックアップして観ている。今年はじめに日本公開された「シャドウプレイ」も中国の裏事情にスポットをあてた自分が好きなタイプの映画だった。同じスタッフが今回参加しているという。2020年に映画祭に出品された映画が今さら公開というのもずいぶんと遅い気もするが、興味深い。でも、公開館は少ない。
中国四川省の工業都市の女子高校生シュイチン(リーゲンシー)は、父と継母と弟と暮らしている。しかし、継母とは折り合いが悪い。その街に一歳の時に別れ大都市に移った実母チューイン(ワンチェン)が帰ってくる。ダンサーの母親は感傷的にならず冷静だが、シュイチンは実母に接近する。ところが、実母は200万元の多額の借金があり、黒社会筋のヤミ金の取立てに追われていて、しかも期限が迫っていた。
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女性監督らしくきめが細かい。あらゆる映像に目が行き届いた感触をもつ良作である。
女の子の微妙な心理状態がよく描かれている。エンディングなどに欠点もあるけど、掘り出し物の一つだろう。
ポイントは、継母といい関係が築けない女の子のもとに、幼い頃に別れた母親が身近なところに戻ってくる時に女の子が感じる心の動きだ。その母親は美しく、スポーティーな黄色のクルマを乗りまわし、学校で仲間にもダンスを教えてくれる自慢の母親だ。再会できて誰よりもうれしい。その実母が怪しい奴らに追われている。しかも、多額の借金をしていて、遠方から取り立てが来ている。何とか実母を助けなければという健気な気持ちだ。そこでインチキ誘拐事件を装って友人の実家からカネを引き出そうと企むのだ。
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実質主役とも言える高校生を演じるリーゲンシーは、「初恋のきた道」の頃のチャンツィーを彷彿させる純真な少女だ。一歳の時に自分を捨てた母親だけど、実母には違いない。母親を慕う気持ちで犯罪に加担した主人公が実に切ない。珍しく実際の犯人に同情心を持ってしまう。
ここでは、主人公シュイチンの友人として2人女の子を登場させる。1人は家は裕福なんだけど、意地の悪い子でいわゆる女のいやらしさを兼ね備えている。もう1人はモデルになるくらいの美貌をもち金持ちから自分の養女にしたいと言われている子で、心配性の実父から虐待を受けている。この2人の使い方は女性監督ならではかもしれない。ストーリーのネタバレになるので言わないが、事件にも関わってくる。
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つい最近も韓国映画「あしたの少女」で女性監督が巧みに脚本監督をこなしたが、ここでもシェン・ユー監督が巧い。四川省といっても広い。今回の舞台となる工業都市は中核都市成都とは700km以上離れている。東京から青森の距離だ。金沙江と言う川に沿った工業都市で,煙突から煙がもうもうと出ている。実際には別の都市で起きた事件のようだが,ロケハンがうまく良い撮影地を見つけて,現地の高校生たちにも協力してもらったようだ。その辺の配慮が映画を見ているとよくわかる。