山梨百名山から見る風景

四方を山に囲まれた山梨県。私が愛して止まない山梨の名峰から見る山と花と星の奏でる風景を紹介するページです。

芦川からの鬼ヶ岳裏ルートを登る  平成27年5月31日

2015年06月01日 | 御坂・毛無・天子山系
 御坂山系のカモメランは山中湖側に偏った山に咲くものだと思っていたのだが、昨年十二ヶ岳にも咲くことがわかった。ならば、同じような環境にあり、現在廃道扱いになっているこちらのルートにもあるのではないか?とずっと思っていたのだが、なかなか訪れる機会が無かった。もしあるとすればそろそろ咲いている頃だろう。本日攻めるのは芦川キャンプ場の奥、水沢山から鬼ヶ岳の西側のピークに至る尾根だ。かつては登山道になっていたはずなのだが今ではほとんど歩く人がおらず、通行不能になっている。

 午前9時、ほぼ完成している水ノ沢山をぐるりと取り巻く林道の橋を渡り、入り口の沢筋を眺めてみると、倒木が多くて突破するには苦労しそうだ。そこで林道工事のために付けられたと思われる右手の尾根に登る踏み跡があったので、これを使って尾根に取り付き、そのまま登ると水ノ沢山山頂に登り付いた。


    数年前に訪れた時はまだ道は出来ておらず橋しか無かったが、ずいぶんと様相が変わった。


    ここが取り付き口のはずだが倒木が多く荒れている。右手の斜面に林道工事のための踏み跡があり、これを登る。


    藪尾根を進むと水ノ沢山山頂に着いた。看板も三角点も何も無い小ピーク。


    ここから先の尾根には道があった。沢筋から登って来るルートも分かれていた。


    大きなダケカンバの木がお出迎え。


    植林帯の脇の急登を登る。道はあるのだが倒木が多い。


    斜面に咲いていたササバギンラン。この界隈には結構な数があった。


    ササバギンラン。


    さらに急登。ここを登り切ると傾斜が緩くなる。

 標高1,500mあたりのところまで登ると森の様子が変わり、ツガの森が広がるようになる。おそらくカモメランがあるとすれば森の雰囲気からしても、標高からしてもこのあたりだろう。しかし、テンニンソウが生い茂っていてこのあたりはかなりの食害に遭っていることが伺える。右の林左の藪と探しながら歩くが、残念ながらお目当てのカモメランは見当たらない。


    標高1,500m付近のツガの林。境界見出標と木に番号が付けられている。


    テンニンソウが生い茂る。鹿の食害に遭った山は鹿が食べないテンニンソウが生い茂る。


    ユキザサ


    花は散ってしまっているがこれはヤマシャクヤク。


    森の中に草地があった。その周辺には花が多かった。


    ミツバツチグリ(だと思う。)


    ツルシロカネソウがたくさん咲いていた。


    ツルシロカネソウ


    コチャルメルソウの実。


    シコクスミレの葉。その他にナガバノスミレサイシンと思われる葉が多数あった。


    ルイヨウボタンがちらほらと咲いていた。レンゲショウマと思われる葉も多数あった。


    ルイヨウボタン


    この斜面ならありそうなものだが・・・残念ながら探し物はこの尾根には無さそうだ。


    鬼ヶ岳から鍵掛に至る正規ルートに抜ける。あったのはこの看板「通行不能」。下りは迷うかもしれないが登りで使うのは全く問題無し。


    鬼ヶ岳に到着。


    登って来た尾根を振り返る。

 鬼ヶ岳山頂に到着したのは午後1時過ぎ、標高差800mほどを登るのに4時間以上もかかったことになる。まあ、毎度のことだが・・・。山頂のミツバツツジはもう散り始めていたが、ドウダンツツジは満開だった。ここで昼食をとり大休憩する。


    ミツバツツジはもう散り始めていた。向こうに見えるのは雪頭ヶ岳。富士山は雲隠れ。


    ドウダンツツジは満開。


    ??ウツギ?

 できれば十二ヶ岳のほうにも足を延ばしてみたかったのだが、本日降りるのは道があるかどうかもわからないバリアンスルート。念のためザイルを持ってきたので谷筋までは下降できるであろうが、沢の中がおそらく大荒れの状態になっていることが予想され、時間がかかると思われる。まだ時間は2時前だが、本日は寄り道せずに下りることにする。


    金山に至るルートの途中の少コブから派生する尾根を下りる。以前に途中まで下りており、ルートらしきものがあるのは確認している。


    ツガの林の広い尾根。ひたすら尾根を外さないように下りるが、毎度のことだが途中で道らしきものは消失。


    ひたすら尾根を真直ぐに下りて行くと、山腹をトラバースするような古い道(?)に出くわした。これを進むと右側に派生する尾根に乗り換えて下りることができた。が・・・。


    炭焼き釜の跡地のところで道が消失。


    かなりの急下りだが下に沢が見える。木の幹や根っこにつかまりながら沢まで下降する。


    沢にはテープが付いていたものの、道らしきものは無い。


    倒木だらけ。予想していた通りだった。倒木の上を超えたり下をくぐったり、何度も渡渉を繰り返しながら沢を下りる。


    休憩しながら小滝が流れ落ちる沢の景色を楽しむ。足がかなり疲れて来た。


    幸いにして右岸に道らしきものがあり、それを下りる。


    ヒメレンゲ


    沢沿いに咲いていたツルシロカネソウ。


    それもつかの間、またしても倒木に行く手を遮られる。渡渉でスリップして左足は膝まで水の中にドボン!


    こんな看板があるがまともなルートでは無い。


    林道に無事到着。午後4時。

 沢の下りは苦労することを予想はしていたものの、予想したよりも大変だった。しかし時間は2時間少々で抜け出たので、まずまずといったところだろう。

 残念ながら今回のカモメラン探しは失敗に終わったが、かつて節刀ヶ岳の尾根にたくさんあったツルシロカネソウ群落は減少の一途をたどっており、同じような環境の森がこちらにも残っていることがわかった。これからも生き続けて欲しいと思う。探索は失敗に終わったものの、このような探索をしなければ新しい出会いにはなかなか巡り合えないだろうと考えており、空振り覚悟で今後も冒険を含めた探索を行って行きたいと考えている。




    今回探索したルート。 沿面距離6.4㎞、累積標高差810m。 登りも下りもバリアンスルート。

コメント (4)
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