太田道灌が江戸城を作るまでは淋しい漁村だった。こういう言い方を私は信じ、私は江戸時代まで東京は淋しい武蔵野の一部だったと思い込んでいました。
中年になって地方の歴史を調べるのが趣味になり東京の歴史も調べるようになりました。すると驚いたことには東京には次のように実に沢山の城や館があったのです。
御殿山城、荏原氏館、品川氏館、池上氏館、馬込城、赤堤砦、奥沢城、世田谷城、渋谷城、滝野川城、板橋城、志村城、石神井城、練馬城、深大寺城、立川氏館、平山氏館、小野路城、小山田城、八王子城、滝山城、片倉城、高月城、桧原城、そして江戸城などなどです。
今日は平安時代に作られた渋谷城と誰が城主だったか分からない謎の片倉城をご紹介いたします。
現在の東京の繁華街に渋谷城があったのです。その理由で渋谷区という名前が出来たのです。
(https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B8%8B%E8%B0%B7%E5%9F%8E )
渋谷城には平安時代末期から渋谷氏が住んでいました。城には渋谷川を水源に水堀をめぐらされていたのです。
平安時代に渋谷金王丸がこの城の城主になりました。
しかし室町時代になり大永4年(1524年)に北条氏綱が関東南部を占領し、渋谷城は後北条氏の一隊によって焼かれ渋谷氏は滅んだのです。
現在、渋谷城のあった場所には金王八幡宮があります。遺構は残っていませんが、境内には城の石が1点だけ保存され展示されています。 神社の前にある道路は堀を兼ねた小川で、NHKのテレビ番組ブラタモリでも渋谷城が紹介されていました。
1番目の写真は渋谷城のあった場所にある金王八幡宮です。
2番目の写真は金王八幡宮の境内に展示されている昔の渋谷城の石です。
写真に示した金王八幡社は渋谷駅から歩いて行けるところにあります。しかし渋谷氏一族の動向については分かっていません。1524年に江戸城が後北条氏に奪われた時に渋谷氏一族は城を捨て滅んだのは確かな事です。
金王八幡宮社の社記によると、この神社は渋谷氏の祖、河崎基家が寛治六年(1092)に創建したと書いてあります。現在の社殿は、徳川家光が三代将軍に決定した時に1612年に造られ、その後何回か修理したものです。
門は明和六年(1769)に造られ、江戸中期の建立され、その後何度かの修理を経てます。
現在の渋谷区のこのあたり一帯の高台は渋谷氏一族の居館跡でした。東に鎌倉道、西に渋谷川が流れ、北東には低い谷地の黒鍬谷があって、昔は数ヶ所に涌泉があったのです。
渋谷氏一族のなかで渋谷金王丸だけは動向が分っています。(https://sirotabi.com/11574/ )
渋谷金王丸は、河崎基家(小机六郎)の次男とされてます。1156年、保元の乱で、渋谷金王丸は源義朝に従って先陣を務めました。源義朝が暗殺された際にその郎党に金王丸の名前が書いてあります。この渋谷金王丸常光が渋谷城主になっていた時期があったため渋谷城は、金王丸城とも呼ばれ、現在の金王八幡社になったのです。
1189年、藤原泰衡討伐のおり源頼朝は渋谷高重の館に立ち寄り、渋谷城の隣の八幡宮に太刀を奉納しました。
この時、金王丸御影堂に親しく参拝し、父の源義朝に仕えた金王丸の忠誠を偲び、その名を後世に残すべしと厳命したと言います。そのため、金王八幡宮の境内には現在も金王丸御影堂があります。
それにしても皆様は渋谷駅のそばに平安時代から渋谷城が存在していたことをご存知でしたでしょうか?
さて話は変わり謎の片倉城をご紹介いたします。
このお城は八王子の郊外にあり小高い山の上にありました。土塁や堀の遺構ははっきり残っていますが誰が作ったかさっぱり判っていない城跡なのです。
3番目の写真は片倉城の見取り図です。
4番目の写真は頂上にある本丸跡の広場です。私は片倉城には前に何度か登りました。この写真はその折に撮ったものです。
5番目の写真は城跡にある住吉神社でです。この写真も私が撮ったものです。
このお城は鎌倉時代よりも前の山城と推定されています。東京都指定文化財で、片倉城の城跡と周辺の優れた自然環境の保全を目的とした公園になっています。二の丸広場周辺の空堀などの遺構を見ることができます。
片倉城の詳細は、https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%89%87%E5%80%89%E5%9F%8E にあります。
学校で習う日本の歴史は天皇や幕府のような中央政権に関する歴史が主なものです。地方の歴史はあまり教えません。自分で少し地方の歴史を調べてみると判らないことが非常に多く興味が尽きません。
歴史の闇に消えてしまった事実に対する好奇心が湧きあがって来ます。
今日は平安時代に作られた渋谷城と誰が城主だったか分からない謎の片倉城をご紹介いたしました。
それはそれとして、今日も皆様のご健康と平和をお祈りいたします。後藤和弘(藤山杜人)