「川物語」という連載で私が6番目に選んだのは何度も訪れた上高地の梓川です。自分が一番好きな川ですが、少し遠慮して6番目にしました。
上高地は神々しい別世界です。険しい山々をバスで根気よく登り、最後の長いトンネルを抜けると、いきなり眼前に梓川の大正池が広がります。背景は穂高の連峰で、夢幻のように美し場所です。
昔は神垣内と書いたり、神河内と呼んでいたそうですが、とにかく神々しい景観なのです。どこにでもある谷川の風景とは全く違う神秘的で、そしてロマンチックな景観なのです。
早速写真で上高地をご紹介しましょう。
1番目の写真は上高地の梓川と河童橋から見た穂高岳です。この河童橋は上高地の中心付近にあります。
2番目の写真は河童橋から少し下流の梓川です。清く澄んだ水が流れています。
3番目の写真は上高地の入り口にある大正池です。奥に見えるのは穂高岳です。この写真の左側には焼岳があります。
学生の頃の1959年に行ったときは立ち枯れの木が林立していましたがその木々も朽ち果てて、ほんの数本が残っている状態になりました。
4番目の写真は田代池の湿地です。バスを入り口の大正池で下車して河童橋まで歩きます。すると田代池の湿地が現れ、しばらくすると帝国ホテルがあります。1番目から4番目の写真の出典はhttps://kinarino.jp/cat8/34828 などです。
5番目の写真は田代池を過ぎて撮った梓川の写真です。この写真は2013年09月20日 に家内が撮ったものです。
6番目の写真は田代池の上方にある上高地帝国ホテルです。山岳ヒュッテです。スイスの山岳地ホテルのように丈夫な石組みの上にがっしりした木造で出来ています。何度か泊った懐かしいホテルです。写真は2011年7月1日にに家内が撮ったものです。
さて昔は梓川沿いのバス道も無く、神河内に入るには北アルプスの徳合峠を越えて、この別世界へ降り立ったのです。苦しい山越えの後で見たこの夢幻的な景観に人々は桃源郷を連想したのです。
明治の始めころ、イギリス人のウエストン卿も徳合峠を越えて、神河内に降り立ったのです。そのときの感動を記した彼の著作を読むと私の胸も躍ります。
ウェストンは感動のあまり何度も徳合峠を越えて神河内へ足を運びました。人柄が良く山案内人に信頼されたと言います。このウェストンこそが上高地の魅力を日本人へ教えた人物です。現在、彼のレリーフが静かに梓川を見降ろしています。
私どもも何度も行きましたが、いつも大正池でバスを降りて、梓川ぞいに田代池、田代橋、帝国ホテル、中の瀬、河童橋と散策しました。滔々と流れる梓川の清流が見え隠れする湿地帯に広がる森の中に木道が完備していて歩きやすい道です。空気が新鮮で樹木が美しいのでこの道は何度も家内と一緒に歩いています。
私が上高地を初めて訪れたのは23歳の夏でした。JR大糸線の穂高駅から歩き夜は中房温泉に泊りました。
中房温泉から燕岳、常念岳、槍、南岳、大キレット、北穂、涸沢、徳合小屋と縦走して上高地に降りて上高地と梓川を見た時の感動は忘れられません。
梓川の河原に茂っていた白樺の幹が白く輝いていました。そして上高地特有の川原の泥柳の枝が風で揺れている風景をとても神秘的に感じたものです。あれから茫々60年以上の歳月が流れてしまったのです。
今日は「川物語」という連載の6番目として何度も訪れた上高地と梓川をご紹介しました。そして上高地にまつわる思い出を少しだけ書きました。
それはそれとして、今日も皆様のご健康と平和をお祈り申し上げます。後藤和弘(藤山杜人)