昨日、優れた文学作品をブログで発表している「狼皮のスイーツマン」さんとメールの交換をして、作品の一部の転載許可を頂きました。
1920年頃から1930年頃の上海に住んでいる色々な国籍の人々。当時新しく登場した空に浮かぶ船・飛行船の旅、アールヌーボーの内装、そして飛行船内で起きる殺人事件。
ミステリー小説ですが登場人物の人間性を丁寧に描き上げた小説です。それに第一次世界大戦と第二次大戦の間に咲いた上海文化の見事な記述。色々な視点からも興味深い作品です。是非、お読みになってお楽しみ下さい。以下にその抜粋と挿絵を転載致します。
今日も皆様のご健康と平和をお祈り致します。 藤山杜人
===========狼皮のスイーツマン著==========
伯爵令嬢シナモン「飛行船の殺人」(http://r24eaonh.blog35.fc2.com/)
そのストーリー
可憐でお茶目なレディー・シナモンは18歳の誕生祝いに父君から飛行船シルフィーの搭乗券を贈られます。飛行船シルフィーはアールヌーボー様式を採用した天空の美術館のようでシナモンはご機嫌です。ところが、その飛行船シルフィーで殺人事件が起こってしまいました。船長は頭脳明晰なシナモンに捜査を依頼します。
==========冒頭、書き出し部分===========
伯爵令嬢シナモン「飛行船の殺人」
第一次世界大戦と第二次世界大戦のはざまには、短くて危ういながらも平和な時代が確かに存在し、往事の世相を反映するかのように、東洋のパリと称されたモダン都市上海には、現地人の自治政府と外国人居留地が設けられ、世にも不思議な空間が形成されていた。上海には大きく三つのエリアが存在する。一つめは、中国の自治政府がおかれた上海南部にある上海県城で、城壁に囲まれた清朝の香りのする旧市街だ。二つめと三つめは外国人居留地である。外国人居留地のことを租界というのだが、租界は上海中央部のフランス租界と、北部の共同租界とに分かれており、上海県城と二つの租界はそれぞれ個別に警察や軍隊まで保有していたのである。なんというアンバランスな町なのだろう。まるで、一つの町のなかに三つの国家があるようなものだ。
=======取材のために佐藤と中井という男2人も乗る飛行船=======
佐藤は、手帖を胸ポケットから取り出すと、中居を追い越して客室へ向かった。意表をつかれた中居の耳に、船内アナウンスがきこえてきた。
──皆様がご乗船になられている当飛行船〝シルフィー〟は、上海─東京間二千キロメートルを、時速七十キロで航行し、目的地東京には三十時間後に到着する予定です。ご用むきの件はお近くのスチュワートにおたずねください。なお、本船の全長は二百四十メートル、幅は四十一メートル、水素ガス容量は二十万立方メートルとなっております。それでは皆様、快適な空の旅を。
飛行船〝シルフィー〟をつなぎ止めていたロープが斧で断ち切られた瞬間、観衆がどよめいた。銀色の巨体は静かに天空に舞い上がっていく。
========飛行船のアールヌーボーの内装============
プロムナードデッキは、乗客キャビンの両脇にあった。乗客キャビンから食堂のある左舷プロムナードデッキに向かう通路には赤い絨毯が敷かれ、壁や天井にはアールヌーボー様式の絵画や装飾が施されていた。アールヌーボーとは一九世紀末から二〇世紀初頭に流行した様式で、その展開は、美術界のみならず、建築や工芸といった分野にまで広がっている大芸術運動だった。アールヌーボー様式で統一された壁の随所には、東欧チェコの画家アルフォンソ・ミュシャのパネルが綺麗にはめ込まれており、ギリシャの女神がモチーフとなっていた。
ミュシャは、ポスターや装飾パネルの分野で活躍した画家で、近代グラフィックアートに革命をもたらした。東洋水彩画風のおさえ気味にした色調と様式のなかに、赤みを帯びたみずみずしい女性達を描いている。
アールヌーボーの代表的な画家には、他にクリムトがいるのだが、その人の画風は、金や赤・緑・紫といた極彩色を多用しているのだが、どことなく死の影が漂い、ミュシャの画風とは対照的である。
黄金の髪を後ろに結った若い貴婦人は、通路にはめ込まれたミュシャのパネルにすっかり魅了され、「素敵だわ!」と何度もつぶやいていた。
ミュシャの通路を右に折れて、プロムナードデッキに入ると食堂となり、食堂をさらに抜けると展望室となる。そこの窓の一部にはステンドグラスがはめ込まれているため、さしこむ光は複雑なものに変化するのだ。また展望室はベージュ色の壁や天井を基調としているのだが、随所に黒と金の意匠を加えてめりはりをつけていた。
=========そして殺人事件が起きる======以下省略======
ブログの上で親しく交流してきた友人が突然ブログを止めます。何故かショックを受けます。こんな経験をしたことがおありでしょうか?
最近、山林の中の家に独り住んでいる鬼家(オニイエ)雅雄さんが「北杜市・自然の中で」という素晴らしいブログを中止しました。鬼家さんとは山林の中での10年以上にわたる交流がありました。2007年10月に私にブログを始めるように勧めて、PCやデジカメの使い方を懇切丁寧に教えてくれた方です。そのお陰で、私は2007年の11月5日からこのブログを始めました。
それが最近、鬼家さんがあまり書くことも無くなったのでブログを止めると公表して止めてしまいました。ショックを受けました。「栄枯盛衰、よのならい」。どんなに栄えていたブログでも消えるときが来る。私のこのブログも何時か消えて無くなる。そんな感慨が胸に広がっています。
と、そんな時、以下のようなコメントの交換の後、ちひろさんのブログも忽然と消えて無くなりました。このブログの推薦したいブログのちひろさんのブログをクリックしても何も出て来ません。昨夜、メールで新しいURLを連絡してくれました。しかしまだ内容が有りません。しばらく待つことにしました。いずれ内容のあるURLを連絡頂いたならご紹介いたします。
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藤山杜人さま、お早うございます。
コメント拝見させていただきました。心より感謝申し上げます。下手な画像ですが取り上げていただければ光栄です。
唯、06年から続けてまいりましたブログは今月にて終了して新たなURLとタイトルで再出発しようと思っております。中身は一向に向上しないと思いますが、気分を一新して琵琶湖の畔を吹き渡る風と語る時間を探ってゆきたいと思います。
今後ともどうぞ宜しくお願い申し上げます。
メールアドレスも相当悪用されておりますので、変更いたしました。新規ブログのURLとメールアドレスは後日お知らせさせていただきます。
御厚情有難うございます・・・ちひろ 拝
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ちひろさん
ちひろさんは、どんなに小さな生き物も愛し、そして小さな草花なども大切にしています。毎日を慈しむような生き方をしている姿こそ美しい人生と尊敬しています。
自然のあるがままを愛しているので、どんなに猛暑でも冷房を使わず自然と向き合って生活を楽しんでいらっしゃるのだと理解しています。感心もしています。
その生き方から生まれる写真を又借用させて下さい。今回は裏庭で羽化したアゲハチョウの写真を借用させて下さい。
私もなるべく冷房装置に頼らないようにします。
コメント有難うございました。 藤山杜人投稿 藤山杜人 | 2009/07/16 13:02
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ちひろさんのブログが消える直前に転載させて貰おうと思って取り出していたアゲハチョウの写真を一枚、「日々生きること」という素晴らしかったブログの記念に掲載させて頂きます。ご自分の家の裏庭で毎年、蛹から羽化しているアゲハチョウだそうです。(終わり)