間もなく平成時代が終わって新しい年号が決まります。
ここで戦争と厳しい冷戦が続いた昭和の時代と、災害が多かったけれども対外的には日本が平和だった平成の時代を振り返って日本の将来を考えてみたいと思います。
戦後の昭和と平成の74年間の日本は戦争の無い平和な時代が続きました。嫌な言葉に平和ボケという言葉があります。日本人がのどかにボケている間に日本の外の世界は急激に変化したのです。
この急速な国際情勢の変化は日本の将来に甚大な影響を与えることは明白です。
この連載の一回目では平成元年に起きたベルリンの壁崩壊を振り返って見ました。これこそ国際社会の激震でした。大きな世界史の転換でした。
同じ平成元年に天安門事件が起きました。鄧小平が武力制圧をします。その結果共産党独裁のもとで中国は驚異的な経済成長をとげ、平成10年には日本のGDPを抜いて世界2位になったのです。
平成31年の現在、中国のGDPはアメリカに迫り、5年後には世界一のGDPになると言われています。
日本の将来は一番大きく中国の経済の影響を受けるのです。
日本は間違い無く中国の経済圏に組み込まれてしまうのは明白です。
従って中国の習近平が進めている「一帯一路政策」の一翼を担うことは避けられません。
一方軍事的にはアメリカとの安保条約により中国の軍備増大に対抗しなければいけません。
このように経済では中国に協力し、軍事的には対抗するという難しい外交を進めなければなりません。
中国は日本を自分の陣営に引き寄せる政策を取っています。
日本軍の南京虐殺や満州国の建国を中国は非難しなくなり、靖国神社問題についても沈黙を守っています。
これこそ中国の「日本を自分の陣営に引き寄せる政策」なのです。
日本の将来は中国の経済圏に組入れられる時代になるのです。
そこで今日は中国の平成元年からの経済成長を振り返って見ようと思います。あわせて習近平が進めている「一帯一路政策」も説明したいと思います。
今や経済的に中国が世界の覇権を握る勢いです。
特に経済の分野で、中国はアメリカ、ロシア、そしてEUと競い、世界の経済的主導権を握っているのです。
一方、日本はアメリカと安保同盟を結び、軍事的にはアメリカの支援が無ければ日本の安全を守れません。
日本人は中国の経済力を過小評価する傾向があります。
しかし日本人は中国の経済力とその巨大経済圏のことを客観的に理解すべきと考えています。
今こそ冷静な客観的考察が重要になって来たのです。
以下は中国の急速な経済成長と「一帯一路政策」に関する簡単な説明です。
(1)中国の驚異的なGDPの成長ぶり
1番目の写真は世界の主要国のGDPの19804年から2021年の推移を示す図面です。この図を見ると中国のGDPの増加は驚異的で、2025年には間違いなくアメリカを抜いて世界一になる勢いです。従来、アメリカのGDPを抜いた国は皆無だったのです。これは破天荒なことです。この出典は,各国のGDP、http://www.garbagenews.net/archives/1335765.html です。
2番目の写真は世界全体のGDPに占める各国の2017年の比率です。出典は1番目の写真と同じです、
この図面の中の中国の15.5%と日本の6.4%とインドの3.1%とを加算すると25、0%になります。この数字はアメリカの24、4%よりも多いのです。
この中国、日本、インドの合計の25%に韓国と台湾のGDPを加えればアメリカのGDPを遥かに抜いてしまうのです。
さらにインドネシア、マレーシア、シンガポール、タイ、、ミャンマー、バングラデシュなどのDGPを加えればアジアには巨大な経済圏が既に出来ているのです。21世紀はまさにアジアが台頭する時代なのです。
アジアの盟主として中国はこの情勢に乗じて中国主導の経済圏を作ろうとしています。
(2)一帯一路を中心にした中国主導の巨大経済圏構想
中国政府は中国から西方のアジア諸国、ロシア、中東諸国、ヨーロッパ諸国にまたがる広大な地域を一帯一路でつなぎ巨大な経済圏を作ろうとしています。
一帯とは陸路でつなぐ経済圏で一路とは海路でつなぐ経済圏です。
3番目の写真は中国が進めている巨大経済圏の地図です。青い色の国は一帯だけでつなぐ国で、褐色の色は一路でもつなぐ国です。
この図面の出典は、https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%80%E5%B8%AF%E4%B8%80%E8%B7%AF です。
4番目の写真は陸路の一帯と海路の一路の見取り図です。陸路の一帯も海路の一路もまだ決まった自動車高速道路もコンテナ線を航海させる決まった航路はまだあるわけではありません。暫くは複数の自動車道路や鉄道をつないで貨物の輸送をします。航路も同様です。
この一帯一路を中心にした中国主導の巨大経済圏構想に従って中国政府は外交活動を展開しています。
中国政府の李克強国務院総理は、沿線国を訪問し、支持を呼び掛けています。
すでに100を超える国と地域から支持あるいは協力協定を得ており、さらに国際連合安全保障理事会、国際連合総会、ASEAN、EU、アラブ連盟、アフリカ連合、アジア協力対話などの場で盛んに宣伝、勧誘を展開しているのです。
その結果、上海協力機構など多くの国際組織が支持を表明しているのです。
この圧胴を補強するために中国は、諸国の経済不足を補うアジアインフラ投資銀行(AIIB)を作りました。
その上、中国・ユーラシア経済協力基金、シルクロード基金などを矢継ぎ早に作っています。
これらの金融資金はインフラ投資を拡大するだけではなく、中国から発展途上国への経済援助を通じ、人民元の国際準備通貨化による中国を中心とした世界経済圏を確立する壮大な目的があるのです。
何故か日本のマスコミはこの中国の世界経済圏を確立に関すづニュースが非常に少ないのです。いたずらに尖閣諸島の中国巡視艇による領海侵犯だけに大騒ぎしています、木を見て森や山を見ていません。
(3)一帯一路フォーラムに対する日本とアメリカの立場
「一帯一路フォーラム」とは、2017年5月14日から15日、中国の習近平国家主席が旗振り役となり開催した国際会議です。
参加者は29か国の首脳と130か国以上の代表団、約70の国際機関、合計約1500人でした。
テーマは、かつてアジアとヨーロッパの貿易に多大な役割を果たしたというシルクロードを現代に復活させ、中国から海と陸のルートでヨーロッパまでをつなぐ一大経済圏を作ろうというものです。
5番目の写真はこの国際会議の参加者の集合写真です。
さて日本の立場はどうなのでしょうか?
一帯一路フォーラムへは、日本からは、安倍首相ではなく自民党の二階幹事長が出席しています。
経産副大臣が同行しているが、あえてトップは政府の人間ではないので、肯定も否定もしない微妙な立ち位置というものが表れています。
無下には出来ないが、二階幹事長に行ってもらう事で最低限のパイプはつないでおくという立場という事です。
二階幹事長は、5月16日に習近平氏と会談し、安倍首相からの親書を手渡し、日中関係改善に向け話し合ったようです。
一帯一路を中国主導の巨大経済圏構想と警戒して、アジアインフラ投資銀行、AIIB参加を見送ってきた日米も慎重です。
一方、トランプ政権は一帯一路フォーラムへにポッティンガーNSCアジア上級部長を団長とする代表団を派遣させております。
ポッティンガーは米国企業の参加準備と一帯一路の作業部会設置を表明しつつ透明性と民間資本の活用を主張しました。
トランプ大統領自身も一帯一路への協力について米国はオープンであると述べています。
トランプ大統領の上級顧問で元中央情報局(CIA)長官のジェームズ・ウールジーはアジアインフラ投資銀行、AIIBへの米国の不参加を前任のバラク・オバマ政権の「戦略的失敗」と批判しています。
トランプ政権は中国の一帯一路に「ずっと温かくなる」との見通しです。
米国内ではキャタピラー社などといった米国企業、カリフォルニア州などが独自に一帯一路構想への参加を表明しています。
トランプ政権になってから北京のアメリカ大使館などで米国企業と中国国有企業を集めた一帯一路での米中協力を謳う会合が行われるようになったそうです。トランプ大統領の訪中の際は習総書記と一帯一路への協力で一致し、成立した約28兆円の商談の中にはシルクロード基金とGEの共同投資プラットフォームなど一帯一路関連のものもあった報道されています。
以上のように中国の一帯一路を中心にした中国主導の巨大経済圏構想は実に数多くの国々に支持されているのです。
世界を動かすのは今やアメリカ一国だけでなくなり、中国も世界を動かし始めたのです。今まさにアジアの時代が始まろうとしているのです。日本の舵取りの如何によって日本民族の運命が大きく変わろうとしているのです。
それはそれとして、今日も皆様のご健康と平和をお祈り申し上げます。後藤和弘(藤山杜人)