【まくら】
願人坊主、刑場跡地コツ(小塚原)の遊女街と、怪談噺の舞台装置としては文句なし。女郎屋で板頭(売り上げトップ)を張るお熊の不人情な強欲さと、西念の執念深い恨みがよく描かれた噺。
【あらすじ】
神田のぬか問屋「遠州屋」の美人で一人娘お熊は今は身を持ち崩して、千住の若松で板頭を張っている。毎日、表を通る千住河原町(志ん生は、千住のいろは長屋への九番)に住む西念と言う乞食坊主を父親の命日だから供養してくれと呼び込み、部屋に上げ親切にしてあげる。父親に生き写しだから、父親代わりに親孝行をしたいとの話で、爪に火を灯す思いで貯めた全財産30両をかたり取ってしまう。
西念は身体をこわし外に出られなくて持ち金が無くなった。お熊の所に行って小銭を無心したが断られた。30両も知らないと言う上、70の歳を越えた身体にけがまでさせて、追い返してしまう、お熊。
絶望して長屋に帰った西念は外にも出ずに過ごすのを長屋の住民も心配していると、甥の甚吉が訪ねて来た。中にはいると西念が一人憑かれたようにいた。話の途中で小用に立つ西念が「鍋の中だけは見るな」と言付けた。見るなと言われれば見たいのが人情、中は藁人形を油で煮ていた。そこに戻った西念が蓋が曲がっているから見ただろうと、問い詰め「そうか。これで呪いが効かなくなった」と肩を落として、甚吉に一部始終語った。甚吉は呪いをかけるなら5寸釘に藁人形だろうと言うと、「釘じゃーきかねーんだ。相手はぬか屋の娘だ」。
出典: 落語の舞台を歩く
【オチ・サゲ】
途端落ち(終わりの一言で話全体の結びがつくもの)
【語句豆辞典】
【千住宿】品川、板橋、内藤新宿の江戸四宿のひとつで、人口からすると一番大きかった。奥州街道・日光街道の江戸から最初の宿場。
【板頭】その店(貸座敷=郭)でナンバーワンを張っていた遊女(志ん生)。吉原では「御職(おしょく)」で、岡場所ではこう呼ばれた。武道などの道場では板に書いた名札を上位者から順番に張り出し、序列を付けた。それと同じように、女郎の名札を壁に掛けて序列を付けた。その最上位者。
【ぬか屋】ぬかは当時飼料、漬け物、肥料、石鹸の代用、駄菓子等の原材料になった。用途がかなり有ったので、問屋まであった。今の東京にも2軒ほどのぬか屋が有る。
【この噺を得意とした落語家】
・五代目 古今亭志ん生
・八代目 林家正蔵
・桂 歌丸
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願人坊主、刑場跡地コツ(小塚原)の遊女街と、怪談噺の舞台装置としては文句なし。女郎屋で板頭(売り上げトップ)を張るお熊の不人情な強欲さと、西念の執念深い恨みがよく描かれた噺。
【あらすじ】
神田のぬか問屋「遠州屋」の美人で一人娘お熊は今は身を持ち崩して、千住の若松で板頭を張っている。毎日、表を通る千住河原町(志ん生は、千住のいろは長屋への九番)に住む西念と言う乞食坊主を父親の命日だから供養してくれと呼び込み、部屋に上げ親切にしてあげる。父親に生き写しだから、父親代わりに親孝行をしたいとの話で、爪に火を灯す思いで貯めた全財産30両をかたり取ってしまう。
西念は身体をこわし外に出られなくて持ち金が無くなった。お熊の所に行って小銭を無心したが断られた。30両も知らないと言う上、70の歳を越えた身体にけがまでさせて、追い返してしまう、お熊。
絶望して長屋に帰った西念は外にも出ずに過ごすのを長屋の住民も心配していると、甥の甚吉が訪ねて来た。中にはいると西念が一人憑かれたようにいた。話の途中で小用に立つ西念が「鍋の中だけは見るな」と言付けた。見るなと言われれば見たいのが人情、中は藁人形を油で煮ていた。そこに戻った西念が蓋が曲がっているから見ただろうと、問い詰め「そうか。これで呪いが効かなくなった」と肩を落として、甚吉に一部始終語った。甚吉は呪いをかけるなら5寸釘に藁人形だろうと言うと、「釘じゃーきかねーんだ。相手はぬか屋の娘だ」。
出典: 落語の舞台を歩く
【オチ・サゲ】
途端落ち(終わりの一言で話全体の結びがつくもの)
【語句豆辞典】
【千住宿】品川、板橋、内藤新宿の江戸四宿のひとつで、人口からすると一番大きかった。奥州街道・日光街道の江戸から最初の宿場。
【板頭】その店(貸座敷=郭)でナンバーワンを張っていた遊女(志ん生)。吉原では「御職(おしょく)」で、岡場所ではこう呼ばれた。武道などの道場では板に書いた名札を上位者から順番に張り出し、序列を付けた。それと同じように、女郎の名札を壁に掛けて序列を付けた。その最上位者。
【ぬか屋】ぬかは当時飼料、漬け物、肥料、石鹸の代用、駄菓子等の原材料になった。用途がかなり有ったので、問屋まであった。今の東京にも2軒ほどのぬか屋が有る。
【この噺を得意とした落語家】
・五代目 古今亭志ん生
・八代目 林家正蔵
・桂 歌丸
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