日本男道記

ある日本男子の生き様

紀州

2009年05月10日 | 私の好きな落語
【まくら】
原話は、松浦静山が文政4年(1821年)に出版した随筆・「甲子夜話」の「第十七巻」。

【あらすじ】
徳川家七代将軍のご他界があって、跡目相続の話が持ち上がり、水戸家、紀州家に尾州家の御三家から選ばれる事になった。水戸家は歳を取って引退していたので辞退し、紀州公か尾州公のどちらから八代将軍を選ぶ事になった。
 尾州公は男として将軍になりたかったので、うがい手水に身を固め柏手を打って屋敷を後にした。駕籠に乗っていても”天下”を取りたいと思っていた。今井町を通ると鍛冶屋で鎚の音がトンテンカンと聞こえず「テンカ~、トール」と聞こえてきた。さい先が良いと登城し、紀州公と並んで座った。小田原の城主、大久保加賀守が尾州公の前に進み出て「この度、七代将軍ご他界し、お跡目これなく、しも万民の為、任官あってしかるべし」と頭を下げた。この時受けてしまえば終わっていたのを、見栄が働いて 、断っても再度言葉が掛かるだろうと「余はその徳薄くしてその任にあたわず」と断ってしまった。すると意に反して、向きを変えて紀州公の前に行って「この度、七代将軍ご他界し、お跡目これなく、しも万民武育の為、任官あってしかるべし」と同じ事を言った。紀州公は何て 答えるだろうと聞いていると「余はその徳薄くしてその任にあたわず」と同じ事を言った。しかし、続けて「・・・なれども、しも万民武育の為、任官いたすべし」と応えた瞬間、将軍職は尾州公を通り越して紀州公に決まってしまった。
 尾州公はぼんやりしながら駕籠に揺られて今井町まで来ると、鍛冶屋がまだ”テンカ~、トール。テンカ~、トール”と打っていた。「おかしいな、まだ天下取ると聞こえる。そうか紀州公は返事はしたが『やはり将軍職は尾州公様に』と頼みに来るんだろう」と思っていた。「鍛冶屋の鎚の音は幸先のイイものだ。これで私が天下を取れる」。まだ鍛冶屋ではテンカ~、トール、テンカ~、トールと打っていると、 テンテンテンと打ち上げて、真っ赤に焼けた鉄を水の中に入れると”キシュ~(紀州)”。

出典: 落語の舞台を歩く

【オチ・サゲ】
不明

【語句豆辞典】
【御三家】江戸時代、尾張の徳川家(尾州家)、紀伊の徳川家(紀州家)、常陸の徳川家(水戸家)の総称。諸大名の上に位し、将軍に嗣子のない時は三卿(サンキヨウ)と共に尾張・紀伊両家から継嗣を出した。水戸家はその特典なく、代々副将軍。三家。

【この噺を得意とした落語家】
・五代目 古今亭志ん生
・三代目 三遊亭金馬
・六代目 三遊亭圓生

 



Daily Vocabulary(2009/05/10)

2009年05月10日 | Daily Vocabulary
7491.beat around the bush(遠回しな[回りくどい]言い方をする)
I won't beat around the bush.
7492.speak up(声に出していう、はっきりしゃべる)
If you have any suggestions for asolution to this problem, speak up.
7493.get to the point(核心をつく、要点に触れる)
Why don't you get to get to the point and save precious time?
7494.bureaucratic(官僚的な、官僚政治の、お役所的な)
They seem bureaucratic ,and I never know who is responsible for that.
7495.concise(簡潔な、簡明な)
In order to really drive the nail home, you have to be clear and concise.
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