日本男道記

ある日本男子の生き様

六尺棒

2009年05月24日 | 私の好きな落語
【まくら】
道楽息子と父親の争いを描いた噺。結局息子が父親をからかった形で終わっている。およそ教育的ではないが、落語が説教じみていては面白くない。

【あらすじ】
道楽息子の孝太郎が吉原からご帰還。
「あーあ、『床屋行ってくる』で十日間、吉原になだれ込んで居座っちゃったな。ちょっと長居だったよねぇ。親父、怒ってるだろうな…。
でも、うちは番頭さんがしっかりしているから大丈夫だ。出かける前にちゃんと打ち合わせしておいたから、きっと親父に黙って入れてくれるはず。
よ、家に着いた。戸口を…開かねぇぞ。鍵がかかってるよ」
戸口をどんどんたたく。やがて声が聞こえてくるが、それがなんと親父の声!
「ええ、夜半おそくどなたですな? 商人の店は十時限り、お買い物なら明朝願いましょう」
「いえ、買い物客じゃないんですよ。あなたの息子の、孝太郎でございます」
「ああ、孝太郎のお友達ですか。手前どもにも孝太郎という一人の倅がおりましたが、こいつがとんだ道楽者で、毎晩、夜遊び火遊び。
あんな者を家に置いとくってえと、しまいにゃこの身上をめちゃめちゃにしかねません。
末恐ろしいから、あれは親類協議の上、勘当いたしました。と、どうか孝太郎に会いましたなら、そうお伝えを願います。」
「勘当…。参りましたね。私は一人息子ですよ、私を勘当したら身代どうするんです?」
「そんなこと、お前が心配する必要はない!! …とお言伝を願います」
「だいたいね、『できが悪い』だなんて言ってお叱りになりますがね、私はなにも頼んで産んでもらったのではないのです。
あなた方が勝手に産んだんじゃないですか。それなのに"製造元"の不備を省みず、私ばかり糾弾するのは筋違いというものですよ?
出来がよければ受け入れて、悪ければ捨てるというのは身勝手だ…」
「やかましい!! 他人事に言って聞かせりゃいい気になりやがって!!
世間を見てみろ。たとえば隣の孝蔵さんは、親孝行で働き者じゃないか。
親の具合が悪ければ、『肩をたたきましょう』『腰をさすりましょう』、風邪をひけば『お薬を買ってまいりましょう』と尽くしてくれてるじゃないか。はたで見ていても涙が出らァ。少しは世間のせがれを見習え」
「そうですか…分かりました。勘当、結構です。できるものならやって見ろってんだ。
そのかわりね、どこの馬の骨とも牛の骨とも分からないヤロウに、この身代持って行かれるのはシャクですから火をつけます。放火します。
ちょうど袂にマッチがありますから、ひとつここに転がってる空き俵に火をつけて…」
マッチに火をつけてみせたから、戸のすきまから様子をうかがっていたおやじ、さすがにあわてだす。
「あれじゃ本当にやりかねないぞ。あのヤロウ…そうだ、ここに六尺棒があるから、こいつを使って向うずねでもかっぱらってやる! このヤロウ!!」
幸太郎、これはたまらんと逃げだして、抜け裏に入ってぐるりと回ると家の前に戻った。
いい具合に、おやじが開けた戸がそのままだったので、中に入るとピシャッと閉め込み、錠まで下ろしてしまった。
そこへおやじが腰をさすりながら戻ってくる。
「おい、開けろ」
「ええ、夜半おそくどなたですな? 商人の店は十時限り、お買い物なら明朝願いましょう」
「野郎、もう入ってやがる。客じゃない、お前のおやじの孝右衛門だ」
「ああ、孝右衛門のお友達ですか。手前どもにも孝右衛門という一人のおやじがありますが、
あれがまあ、朝から晩まで働いて、金儲けばかりに励みやがって困っております。
ああいうのをうっちゃっとくってえと、終いに日本中の金を集めかねません。
『宵越しの銭は持たない』という、江戸っ子の信条に反する極道者ですから、あれは親類協議の上あれは勘当いたしました…とお言伝を願います」
「勘当…。親父を勘当してどうするんだ?」
「そんなこと、お前が心配する必要はない!! …とお言伝を願います」
「幸太郎…、冗談を言ってないで開けておくれ。私は夜中に駆け出して疝気が…」
「やかましい!! 他人事に言って聞かせりゃいい気になりやがって!!
世間を見てみろ。たとえば隣の孝蔵さんの父親は、子供思いでやさしいじゃないか。
せがれさんが風邪でもひいたってえと、『一杯のんだらどうだ?』『小遣いをやるから、女のとこへ遊びにでも行け』。
はたで見ていても涙が出らァ。少しは世間のおやじを見習え」
「何を言やがんだ…。そんなに俺のまねをしたかったら、六尺棒を持って追いかけてこい!」

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

【オチ・サゲ】
間抜け落ち(会話の調子で間抜けなことを言って終わるもの。また奇想天外な結果となるもの)

【噺の中の川柳・譬(たとえ)】
『親の脛かじる息子の歯の白さ』
(親の脛をかじる者が、かえって身奇麗にして遊び暮らすケースが多い事を皮肉ったもの)

【語句豆辞典】
【六尺棒】カシなどで作った長さ六尺(1.8㍍)の棒。防御に用いる。
【あんころ】あんころ餅。
【円タク】戦前にあった市内均一のタクシー。転じて流しのタクシーをみな円タクと呼んだ。

【この噺を得意とした落語家】
・五代目 古今亭志ん生
・九代目 桂 文治
・立川談志
 



Daily Vocabulary(2009/05/24)

2009年05月24日 | Daily Vocabulary
7561.visibility(可視性)
Visibility today is about 100 feet.
7562.ergonomically (人間工学的に)
Ergonomically speaking,a backpack isn't an efficient way to carry a load on a bicycle.
7563.backpack(リュックサック)
She handed each child a backpack with disaster supplies.
7564.mount(~を取り付ける、はめ込む、埋め込む)
For maximum safety,mount tree in water-holding stand.
7565.sweaty(汗の出る、汗にまみれた)
You can get a very sweaty back that way.
今日の英語ニュースを聞こう!NHK WORLD Daily News

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