1:婦人相学十躰 浮気の相
中年女の美しさが画面いっぱいに匂っている。
歌麿の脂ののりきった寛政期の逸品で、ほかに「団扇をもつ女」「鏡を見る女」「指を折る女」と四図がある。
夏の一日、湯上りの櫛巻の髪に、淡い色の浴衣がけの年増女の姿態は、無造作のなかに若い女にはみられない異なった情趣が漂って、みるものをうっとりさせる。
明るい白きらに、淡色最小限の色数でこれだけ効果をあげた歌麿の技巧は非凡というほかない。
※喜多川歌麿
江戸時代の日本で活躍した浮世絵師の代表的な一人。
姓は北川、後に喜多川、幼名は市太郎、のち、勇助(または勇記)と改め、名は信美。
初号は豊章といい、歌麻呂、哥麿とも号す。
通常は「うたまろ」と読むが、秘画本には「うたまる」としているものもある。
俳諧では石要、木燕、燕岱斎、狂歌名は筆の綾丸、紫屋と号して、蔦屋重三郎とともに吉原連に属した。
国際的にもよく知られる浮世絵師として、葛飾北斎と並び称される。
繊細で優麗な描線を特徴とし、さまざまな姿態、表情の女性美を追求した美人画の大家である。
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