4:山姥と金太郎 乳呑み
山姥と金太郎の主題で歌麿は約三十種類程も描いている。
享和に入ってからの作品で歌麿が四十歳を過ぎてからのものだが、このほかにも母と子の愛情の交流のさまを色々の角度から描きあげた数多い図柄がある。
どのような理由―心境によるものか測りがたいが、それぞれに母と子の血の通った情感がにじみ出ていて興味深い。
母と子と乳房の三つを画面いっぱいに大胆に描き出したこの図は、この種の数多い絵柄のなかでの代表作である。
※喜多川歌麿
江戸時代の日本で活躍した浮世絵師の代表的な一人。
姓は北川、後に喜多川、幼名は市太郎、のち、勇助(または勇記)と改め、名は信美。
初号は豊章といい、歌麻呂、哥麿とも号す。
通常は「うたまろ」と読むが、秘画本には「うたまる」としているものもある。
俳諧では石要、木燕、燕岱斎、狂歌名は筆の綾丸、紫屋と号して、蔦屋重三郎とともに吉原連に属した。
国際的にもよく知られる浮世絵師として、葛飾北斎と並び称される。
繊細で優麗な描線を特徴とし、さまざまな姿態、表情の女性美を追求した美人画の大家である。
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