安曇野ジャズファンの雑記帳

信州に暮らすジャズファンが、聴いたCDやLPの感想、ジャズ喫茶、登山、旅行などについて綴っています。

「水野式音楽理論解体新書」(水野正敏著)を読みました。

2007-11-27 23:21:41 | 読書

ジャズに関する本は、ディスク・ガイドはじめ多数出版されています。しかし、理論的な分野のものはプレイする人のためには当然いろいろありますが、聴くことを主とするジャズやヴォーカルファン向けの読んで面白いものは見当たらないのが実情です。

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「水野式音楽理論解体新書」(シンコーミュージック刊)は、ジャズやロックをプレイする人向けで、最低限のコードの知識がないと、とっつきにくいかもしれません。けれども、ところどころにジャズ・ファンが承知していると鑑賞上の楽しみが増す記述があり買って得をした本です。

例えば、「ビートの表情」をとりあげ、重い、軽いを音符の長さで表示した部分はわかりやすいものでした。「ポリリズム」を楽譜で示してあり、文字で記述するより一目瞭然です。さらに「モード」の解説は、ありそうな用語辞典よりはるかに明晰で、センスのあるミュージシャンでこそ使える方法であることを教えてくれます。

スケールの章の最後に「万能型ブルーノート・ペンタトニックの5音だけでソロが出来るという不思議さは、音楽の深さにも繋がっていますね。」と記してあります。「ブルーノート」はジャズファンには、レーベル名としても親しいものですが、ブルーノート(5度のフラットも含め)が理論上もたいへん重要なものであることに改めて驚きました。

著者の水野正敏さんは、べーシスト、作曲家、プロデューサーとして活躍中であり、CD、著書をたくさん出しています。いつか「聴衆のための音楽理論入門」を、できればCD実例付で出版してもらいたいものです。