第18回ショパン国際ピアノコンクールに、反田恭平さんが2位、小林愛美さんが4位に入賞しました。素晴らしい結果です。反田さんの本選でのピアノ協奏曲第1番の演奏をYouTubeで観たのですが、その音色やオーケストラとの一体感などすごくて、眠気も吹き飛びました。
(時事通信の報道記事)
ショパン国際ピアノコンクールで演奏する反田恭平さん=18日、ワルシャワ(EPA時事)
【ワルシャワ時事】ポーランドのワルシャワで行われていた第18回ショパン国際ピアノコンクールの本選の結果が21日発表され、東京都出身の反田恭平さん(27)が2位、山口県宇部市出身の小林愛美さん(26)が4位に入賞した。反田さんは、日本出身者のこれまでの最高位である1970年の内田光子さん(現在は英国籍)の2位に並んだ。日本人の入賞は16年ぶり。
ショパンコンクール開催中は、イリーナ・メジューエワさんの「ショパンの名曲」(講談社新書)という本を読んでいたので、以下そのレビューです。
表紙。本年(2021年)5月20日発行です。
著者の略歴。ロシア出身ですが、現在は日本を本拠として活動中。CDも多数発売されています。
帯裏面の本書の紹介。目次は、ジャンル(曲種)ごとに1章から9章まで、10章は「ショパンとの出会い」として特に2曲について書かれています。
(内 容)
ショパンのピアノ曲について、ジャンルについておおまかに説明したあと、それぞれを代表する作品について詳細な説明を試みたものです。「おすすめの演奏」は、古い録音ですが、そこから文化が聞こえてくるような音(サウンド)が聴けるようなものを選んだとのことです。
(感 想)
音楽を言葉で説明するのはたいへんですが、ショパンが、いかに工夫して繊細に曲を書いているのかが伝わる記述が多く、感銘を受けました。ポリフォニーについて、繰り返し言及しているのも印象的です。
取り上げる曲や、おすすめの演奏の選択などショパンの曲を聴く際の参考になります。おすすめの演奏では、アルフレッド・コルトーとゲンリヒ・ネイガウスを多く推薦していました。
ショパンの曲の魅力に迫って、譜面も使いながらわかりやすく述べていると思った例を1~2挙げます。
(ノクターン 変ホ長調 作品9-2)
映画「愛情物語」(To Love Again)でも使われた有名曲です。明快さの中での細やかさという一例で、『小節13の右手を見てください。(譜例1-2 小節13)。長いスラーの中にもう一つ細かいスラーが書かれています。音響に関する細かさの一例です。』と述べています。(本書 17ページ)
第10章では、メジューエワさんの私的なショパンとのかかわりなど、親密な記述があります。
(舟歌 嬰ヘ長調 作品60)
『1846年ショパン晩年に作曲された傑作で、崇高な美しさに満ちた作品です。・・・とても印象的な序奏で始まります。冒頭(譜例10-3 小節1~3)、左手のオクターブ「ド♯」と右手の「ソ♯」を含むメロディ和音が、世界を一気に開きます。詩人ショパンは~』とあります。(本書 250ページ)
この曲は、僕も大好きです。なお、ルービンシュタインの演奏で、本書に取り上げられた曲目を聴きました。
アルトゥール・ルービンシュタイン「ルービンシュタイン・プレイズ・ショパン」(CD10枚組)