佐々木譲の新刊「樹林の罠」を読みました。2022年12月発行の単行本ですが、道警・大通警察署シリーズの最新刊で面白そうなので購入。その前の9冊目の「雪に撃つ」を読んだばかりです。(その記事へのリンク)
表紙。
(著者について)
佐々木 譲 (ササキ ジョウ)さんは、1950年北海道生まれ。79年「鉄騎兵、飛んだ」でオール讀物新人賞を受賞。90年『エトロフ発緊急電』で山本周五郎賞、日本推理作家協会賞長編部門を受賞。2002年『武揚伝』で新田次郎文学賞、10年『廃墟に乞う』で直木賞を受賞。
(帯裏にあるあらすじ)
轢き逃げの通報を受け、臨場した北海道警察本部大通署機動捜査隊の津久井卓は、事故ではなく事件の可能性があることを知る。それは被害者が拉致・暴行された後にはねられた可能性が高いということだった。その頃、生活安全課少年係の小島百合は、駅前交番で保護された、旭川の先の町から札幌駅まで父親に会いたいと出てきた九歳の女の子を引き取りに向かう。一方、脳梗塞で倒れた父を引き取るために百合と別れた佐伯宏一は、仕事と介護の両立に戸惑っていた。そんな佐伯に事務所荒らしの事案が舞い込む…。それぞれの事件がひとつに収束していく時、隠されてきた北海道の闇が暴かれていく―。
(感 想)
これで10冊目となる北海道警・大通署シリーズですが、今回も期待に違わぬ面白さでした。実は、事件、捜査の舞台となる札幌市街地を、佐伯、小島、津久井といった主人公達が縦横無尽に駆け回るので、札幌市街図を購入し、たまに参照しながら読みました。例えば、「大通公園の西十丁目」や「石山通」がどこかと。
略取誘拐や住居侵入の罪状で、犯人逮捕に進むのですが、その大元は、旭川近郊での意図的な違法な伐採で、それを隠すために行われた犯罪です。山林の伐採が、事件の鍵を握ることにもなって、実に北海道らしくて、着想が素晴らしい。
本シリーズの特長ですが、現代の出来事を反映させてあります。本書でも、コロナ禍に伴う繁華街の不振や旅行助成の話があったり、父親の介護問題など、極めて今日的です。最後の立ち回りの舞台は、ススキノのビル「ラフィラ」が取り壊された跡です。札幌へ行きたくなりました。
【購入した地図】
昭文社の札幌市の地図です。
札幌中心地です。札幌は、碁盤の目のようになっていて、例えば、文中に「南六西二」と出てくるのは、南六条西二丁目のことです。しかし、これが僕にはまだ慣れません。知っている場所もあるので、地図を眺めているのも楽しい。
(参考)【ランティエ2023年2月号】
ランティエホームページ:株式会社 角川春樹事務所 読書情報誌ランティエ (kadokawaharuki.co.jp)