安曇野ジャズファンの雑記帳

信州に暮らすジャズファンが、聴いたCDやLPの感想、ジャズ喫茶、登山、旅行などについて綴っています。

VLADIMIR SHAFRANOV 「VLADIMIR SHAFRANOV TRIO」

2007-11-25 12:09:59 | ピアノ

午前中、部屋の掃除をして石油ストーブをウォークイン・クロゼットから取り出して使えるようにしました。さすがにエアコンだけでは耐えきれません。BGMとして、日曜の午前中に聞くCD(作業しながらはCDが断然よいです)を選びました。ピアノトリオです。

VLADIMIR SHAFRNOV (ウラディミール・シャフラノフ)
VLADIMIR SHAFRNOV TRIO (KOMPASS  1981年録音)

Live_at_groovyshafranov

澤野商会のプッシュにより日本でも人気が高いシャフラノフの初リーダー作です。発売当時に名前を聞いた時、ピアニスト・指揮者のウラディミール・アシュケナージ(前NHK交響楽団常任指揮者です)の名前を思い浮かべ、ロシアのピアニストということで興味をそそられて購入したものです。

ロシア、ニューヨーク、ヘルシンキと移り住んだ彼が、ヘルシンキのクラブ「Groovy」でライブ録音したものです。聴衆の温かい拍手が印象的です。ボッサリズムの「Moon and Sand」で始まりますが、何かこれから始めようという時にプッシュしてくれるような演奏ぶりで日曜午前中にふさわしいです。

最も面白かったのはジョン・コルトレーン作の「Moments Notice」です。名作「BLUE TRAIN」(Blue Note)中の本人の名演がありますが、本盤ではハードなというよりさわやかで、この曲のメロディーの良さがよくわかってピアノ・トリオでやった特質がでていると思います。乗りやすいテンポのせいか歓声が聞こえます。

サイドメンのPekka Sarmanto (b)、Jukka-Pekka Uotila (ds)のフォー・ビートも気持ちいいですが、「Without a Song」ではバタバタしてうるさく聞こえます。他に曲は「Autumn Leaves」、「Who Cares」などです。持っていてよかった一枚です。


JOHNNY HARTMAN 「I JUST DROPPED BY TO SAY HELLO」

2007-11-24 21:45:33 | ヴォーカル(E~K)

長野県民文化会館で行われた「高嶋ちさ子 12人のヴァイオリニスト」コンサートにいってきました。たくさんの曲の中で、ショパン「ノクターン第2番」が最も印象に残りました。べートーヴェンの交響曲第7番第1楽章をアレンジして演奏していましたが、ヴァイオリンとピアノだけなのでヴィオラ・チェロなど低音が聞きたくなります。そこで今夜はジョニー・ハートマンです。

JOHNNY HARTMAN (ジョニー・ハートマン)
I JUST DROPPED BY TO SAY HELLO (impulse 1963年録音)

I_just_dropped_by_to_say_hello

男性ヴォーカルのスターの一人です。バリトンの渋い声で、ゆっくりとしたバラード調の歌を得意とした歌手です。なんといって、「ジョン・コルトレーン&ジョニー・ハートマン」が代表作として知られていますが、その半年後に録音されたのが本作品です。ここでも好調を維持していて、代表作の一つとなっています。

曲目は、「Charede」、「In The We  Small Hours of The Morning」、「Stairway To The Stars」らスタンダードに加えて、「If I'm Lucky」、「I Just Dropped By To Say Hello」なんていうのが収録されています。そしてバックが素晴らしく彼らのソロも楽しめます。

イリノイ・ジャケー(TS)、ハンク・ジョーンズ(P)のソロやエルヴィン・ジョーンズのドラミングがきけます。ハートマンとジャケーの組み合わせは、黒っぽくて軟弱なところがないハード・ボイルドたっちの小説を連想させて、かっこいいです。「Charede」(シャレード)でジャケーが入ってくるところはぞくぞくします。「How Sweet It It to be in Love」ではドラムスが躍動的です。

ヴァイオリンもいいけれど、高音ばかりでいささかくたびれた耳にちょうどよいアルバムでした。


WOODY HERMAN 「WOODY'S WINNERS」

2007-11-22 21:10:43 | ヴァイブ、オルガン他

寒いのでワインでも飲もうと、もらってきた塩尻市にある(株)林農園の五一ワインを開けるところです。長野県では原産地呼称管理制度というのがあり、この会社の銘柄にも認定されているものがあります。ワインとジャズはなかなか結びつきませんが、赤ワインなので「Red Roses For a Blue Lady」という曲が頭に浮かびその曲が入ったアルバムを聴くことにしました。

WOODY HERMAN (ウディ・ハーマン)
WOODY'S WINNERS (CBSSONY 1965年録音)

Woodys_winners

ウディ・ハーマンのキャリアは長く、古くはフリップ・フリップス(TS)の入ったファースト・ハードから若いメンバーを集めた比較的新しいものまでたくさんあります。この作品は、メンバーが粒ぞろいで、ライブ録音の楽しさもあって手元にずっと置いてあります。

「Red Roses For a Blue Lady」(ブルー・レディーに紅いバラ)は1948年にSid TepperとRoy Brodskyが共作した曲で、65年にベルト・ケンプフェルト楽団でリバイヴァルヒットし、ウェイン・ニュートンやヴィック・ダナが歌っています。出だしからたいへん優雅なメロディーを持つ曲です。ポピュラーではいいものの、ジャズ化はやり辛いのか多くのヴァージョンはありません。

テナー重視の楽団だけあって、ここでもテナーが3本入りのサックス・セクションが美しいハーモニーでメロディを奏していきます。この部分だけ聴いてもうっとりしてしまいます。続いてウディのソロになります。この曲の編曲はD・ゴイコヴィッチです。その他「Northwest Passage」や「Opud de Funk」で快演が聴けます。

メンバーには、ドン・レイダー、ビル・チェイス、ダスコ・ゴイコヴィッチ(TP)、サル・ネスティコ(TS)、ナット・ピアース(P)がいて、特にトランペットセクションは火がつくのではないかと思うくらい強力です。「Opus de Funk」のベイシーライクなナット・ピアースのピアノソロは愉快です。サックス、トランペットとソロが続き、テーマのBlue Flameで幕を閉じます。

ビッグ・バンドというと、うるさいといって敬遠する方もいますが、ハーモニーの面白さやソロとアンサンブルのやりとりなどコンボでは味わえないところがあって、たまに聞いています。


BUD SHANK 「BUD SHANK QUARTET」

2007-11-21 23:29:19 | アルト・サックス

友人と二人で軽く飲みながら仕事関連の情報交換を行ってきました。飲んだ場所は長野駅前の居酒屋「白木屋」です。ジャズが流れていました。ドトール・コーヒー長野駅前店のBGMもジャズです。地方都市でもピアノ・トリオやコンボの演奏が日常空間で聴けます。BGMではありますが結構なことです。白木屋でちょっと耳にしたアルト・サックスの音色がよかったです。

BUD SHANK (バド・シャンク)
BUD SHANK QUARTET (Pacific Jazz 1956年録音)

The_bud_shank_quartet 

このアルバムは西海岸ジャズの傑作としてよく知られています。明るいムードがジャケットから伝わってきます。シャンクの音色、フレーズともにブルージーというより、明るくカラッとしていて、力強いものです。当時の西海岸ジャズを引っ張った一人ですが、本年の富士通コンコード・ジャズフェステイヴァルに来日するなど変わらぬ活動をしているのは驚異的です。

ワンホーンアルバムで、リズムはクロード・ウイリアムソン(P)、ドン・プレル(B)、「チャック・フローレス(ds)が担当しています。収録曲中ハイライトなのは、「WALKIN'」です。真っ向フォービートで勝負しているのが潔いし、リズムとフレーズが一体となってスイングして気持ちのいいことこの上ありません。「Bag of Blues」もスイングしています。アルトで叙情的なのは「All This and Heaven Too」におけるプレイです。

そして「Nature Boy」、「Nocturn for Flute」のフルート・プレイでは、打って変って、Shankのロマンティックなプレイが楽しめます。ジャズ・フルートの分野は、技術的にクラシックの奏者にかなわない状態が続いてきました。例えば、ジャン・ピエール・ランパルのアルバムを聴けば、その豊麗な音色にまず耳を奪われます。シャンクのフルートの鳴りそのものは、すごいというレベルではないと思いますが「Nature Boy」では曲の持つムードを表現していると思います。

スタジオ・ミュージシャンとして生計を立てていた西海岸の音楽家はマルチリード奏者が多く、多様な音色をジャズに持ち込んだことをもっと評価されていいと思います。特にフルートは、フランク・ウェス、ジェローム・リチャードソンなどビッグ・バンド系を除くとなかなかいません。日本のジャズ・ファンにフルートをはじめ多彩な音色を浸透させたのも、シャンク、バディ・コレット、ボブ・クーパーら50年代西海岸の奏者たちのお陰です。


JANE HARVEY 「FATS WALLER REVISITED」

2007-11-20 22:32:19 | ヴォーカル(E~K)

久しぶりに長野市内のレコード店によったら、ジャズのLPを購入していく人が立て続けに3人もいました。「売れ行き好調ですね」と顔見知りのロック大好き店員に尋ねたら、「ジャズのLPは人気あります。ジャズいいですから。」とのこと。60代と思われる方が、エルヴィン・ジョーンズのLP「プッティン・イット・トゥゲザー」(Blue Note)を買っていったのにはびっくり。見習いたいと思いますが、帰宅すると癒し系作品を聴きたくなるこの頃です。

JANE HARVEY (ジェーン・ハーヴェイ)
FATS WALLER REVISITED
 (INNER CITY  1975年録音)

Fats_waller_revisited

「ジェーン・ハーヴェイ」と声を出してみると、韻を踏んでいるような響きがあって、名前が印象に残ります。このアルバム(日本盤)はジャケットで敬遠しかねないのですが、あるレコード店で試聴させてもらったところ1曲めの「Squeeze Me」の出だしですぐにいいなと感じた作品です。店長さんいわく「ジャケットでみな騙されるけどいいですね」とのことでした。

題名どおり、ファッツ・ウォーラーが得意としたレパートリーをハーヴェイが歌ったものです。おなじみの「Ain't Misbehavin'」、「I Can't Give You Anything But Love」、「Honeysuckle Rose」などを丁寧に歌っています。それに加えて、ズート・シムズ(テナー・サックス)、ディック・ウェルステッド(ピアノ、編曲)ら伴奏陣も一流のベテランを集めています。シムズは「Two Sleepy People」で素晴らしいソロをとるなど活躍しています。

ジェーン・ハーヴェイは、1920年生まれで、ベニー・グッドマン楽団に4か月在籍し、その後クラブで歌ったり、イギリスでも録音するなどこの作品の録音当時には充分な実績のある歌手です。あまり知られていませんが、テンポの遅いものをじっくりと聴くのにとてもいい歌手です。