安曇野ジャズファンの雑記帳

信州に暮らすジャズファンが、聴いたCDやLPの感想、ジャズ喫茶、登山、旅行などについて綴っています。

STEVE KUHN 「WATCH WHAT HAPPENS!」

2007-11-13 22:13:27 | ピアノ

ある新聞社系調査機関の「テレビと買い物」に関するアンケートに答えたところ、謝礼として2000円をもらいました。ラッキーというわけで、さっそくタワーレコード長野店でCDを買ってきました。

STEVE KUHN (スティーヴ・キューン)
WATCH WHAT HAPPENS! (MPS  1968年録音)

Watch_what_happens

前々からほしかった、スティーヴ・キューン(ピアノ)のアルバムです。ピアノの音自体が研ぎ澄まされていてクリスタルな輝きといえばいいんでしょうか。MPS録音だからベーゼンドルファー社製のピアノを使用していると推測します。同社の「シュトラウス・モデル」に一度だけ触ったことがありますが、本当にいい音色でした。

急速調の「WATCH WHAT HAPPENS」とスローな「Silver」(KUHNの自作)、静けさとダイナミックスさが交錯する「Lament/Once We Loves」の3曲が気に入りました。同じ音の連打や緊張感を次第に高めていくプレイなどキューンの個性は際立っています。中にはフリー系のプレイや声を使ったトラックもありますが、これらは薬味的にきくだけです。他のメンバーはPalle Danielsson(b)、Jon Christensen(ds)で、ドラムスは曲により奔放なプレイで応えています。

もともとアート・ファーマー(トランペット)の「Sing Me Softly of The Blues」を聴いた際、ピアノを担当していたキューンにすっかり魅了されたのが、彼のアルバムを集めるきっかけでした。「Three Waves」(Contact)をはじめ何枚かもっていますが、重要なアルバムを加えることができました。

エビス(恵比寿)ビールを飲みながら悦楽的なトラックを繰り返しききました。謝礼付アンケートまたきてほしいものです。


DUSKO GOYKOVICH 「AFTER HOURS」

2007-11-12 20:04:48 | トランペット・トロンボーン

雨降りの月曜日、肌寒い天候です。暖かいハード・バップを聴きたいと思い、取り出したのはユーゴスラヴィア出身の人気トランペッター、ダスコ・ゴイコヴィッチ(Dusko Goykovich)の「After Hours」です。

DUSKO GOYKOVICH
AFTER HOURS (enja 1971年録音)

After_hours

LPのB面の第1曲目「Remember Those Days」(ダスコ・ゴイコヴィッチの自作)が好きでたまにききたくなります。哀調を帯びたメロディーを温かみのある音色のトランペットが奏でていきます。そのメロディとコードを記した自筆と思われる楽譜が裏ジャケットに記載されています。来日公演の際にサインをもらいましたが、その筆致と同じです。

メンバーは、当時のヨーロッパ・オールスターズともいうべきのもの。Dusko Goykovich (tp)の他はTete Montoliu(p)、Rob Langereis(b)、Joe Nay (ds)です。テテ・モントリューは粒だったやや硬質な音色で、サポートにソロにと大活躍です。結構細かくトランペットにからんでいます。Dusko自作の「Old Fisherman's Daughter」、「Ten to Two Blues」、コール・ポーターの「I Love You」などいつ聴いても満足する作品です。

今夜はB面の方は2回廻しました。LPはCDに比べて、当たり前ですが裏面に印刷された楽譜が大きいので、当分はLPを聴き続けます。


Lorez Alexandria 「The Great」、Eddie Higgins 「The ed higgins trio」

2007-11-11 20:05:06 | ヴォーカル(L~R)

ここ信州長野市では、朝から雨降りの日曜日でした。午後4時過ぎにいったん上がって虹が北東の空にかかりました。携帯のカメラであわてて撮影しました。

Rainbow_20071111  Rainbow2_20071111

というわけで、今夜は「Over The Rainbow(虹のかなたに、ミュージカル「オズの魔法使い」から)」を聴きます。虹関連では、「Sing a Rainbow」、「Look to the Rainbow」(ミュージカル「フィニアンの虹」から)なんてありますが、最も有名なのは「虹のかなたに」でしょう。

LOREZ ALEXANDRIA 
THE GREAT (impulse  1964年録音)

The_great 

ロレツ・アレキサンドリアの代表作です。この5曲目に「Over The Rainbow」が入っています。ウイントン・ケリー(ピアノ)の素敵な伴奏で、しっとりとしたあまりフェイクしない歌いぶりでです。 ヴァースは「Sing a Rainbow」のものを使っています。
他にも「Satin Doll」、「My One and Only Love」などリラックスした歌・演奏が収められていていい作品だと思います。

Over The Rainbow(虹のかなたに)は、ジュディー・ガーランド主演のミュージカル「オズの魔法使い」の主題歌で、エドガー・イップ・ハーバード作詞、ハロルド・アーレン作曲です。ガーランドやドリス・デイ、サラ・ヴォーン、ローズマリー・クルーニー、シナトラなどが歌っています。

「Sing a Rainbow」も聴いてみました。ビヴァリー・ケニーの「Sings for Playboys」(Fresh Sound)に収録されている歌は可憐です。ペギー・リーの「Pete Kelly's Blues」中のものが知られていると思います。

Eddie Higgins
The Ed Higgins Trio (REPLICA 1957年録音)

The_ed_higgins_trio

最近もヴィーナス・レコードから多くの新作を発表しているエディ・ヒギンズ25歳時のシカゴ録音です。Over The Rainbowは両手を生かしたちょっとカクテル風味もある演奏です。ヴァースから丁寧に弾いていて音も美しく、これなら最近のスタンダード集の録音に起用されるのも不思議ではないという感想を持ちました。ライナーを読む限りどうやら初リーダー作のようです。

ピアノ・トリオによるノン・ビート部分もあったりするゆったりとした曲と、スインギーなプレイ両方があります。「Night in Tunisia」、「You'd Be so Nice to Come Home to」、「Spring is Here」など有名曲が選曲されています。バックはサポートに徹しています。

さすがに明日は月曜なので、アルコールは飲まずにコーヒーにしました。近所のコーヒー専門店から粉を買ってきて淹れた「ブラジル」です。とろっとして美味しい。


石黒ケイ 「アドリブ」、HELYNE STWWART 「LOVE MOODS」

2007-11-10 16:20:59 | ヴォーカル(E~K)

アート・ペッパーを昨日に続いて聴きました。歌の伴奏をしているアルバムを、華麗な彼のアルト・サックスの音色に注目しながらきいてみました。

石黒ケイ
アドリブ (VICTOR  1979年)

Adoribu_2

これは素晴らしい。石黒ケイはけだるいフォーク・ポップス調の歌を歌う人のようですが、ペッパーのほかにもトゥーツ・シールマンス(ハーモニカ)、北村英治(クラリネット)などジャズ畑の人を迎えて吹き込んでいます。

「暗闇のラブソング」(山崎ハコ作詞・作曲)と「今晩おひま」(石黒ケイ作詞・作曲)の2曲でペッパーがソロをとっています。どちらも聴きものですが、特に前者は全盛期にも迫ろうかというプレイです。フレーズ、音ともに、当時不調ともいわれましたが、どうしてどうして、これはペッパーファンでなくても聴いてみたい逸品です。

収録された最後の曲「恋はもうたそがれ」(石黒ケイ作詞・作曲)は詞、曲、歌ともによく、イメージは「Autumn Leaves(枯葉)」です。「こんな時似合いすぎるわ 枯れ葉のメロディー」の歌詞に続く間奏部分で前田憲男(ピアノ)が「Autumn Leaves」のヴァースを弾いていて、お洒落な編曲です。全体にけだるい歌がブルーなムードを設定しています。

HELYNE STEWART (ヘリーン・スチュワート)
LOVE MOODS (Contemporary 1961年)

Love_moods_2

ほとんど知られていないヘリーン・スチュワートの作品。ペッパーにとっては1961年という吹き込みの少ない時期のもので貴重。歌の方は黒人ながらしつこくないし、高音もまろやかで好感がもてます。スインギーな編曲が施された「The Man I Love」 でペッパーのソロがちょこっときけます。

その他では、「Why Don't You Do Right」がヘリーン、テディ・エドワーズ(TS)とも乗っていて全体の中で最も面白い。次いで「My Silent Love」がよいです。ジミー・ロウルズのピアノの音の美しさも聴けます。「This Can't be Love」ではフィ二アス・ニューボーンがソロの出だしをユニゾンでやってますが、この部分は違和感を感じて可笑しかったです。


Art Pepper 「The Way It Was」

2007-11-09 19:27:23 | アルト・サックス

一日人間ドックに行ってきました。コレステルール値が高い、それも結構高かったです!肥満もある。というわけでお酒を少し慎もうと。昨日の続きでAutumn Leaves(枯葉)を聴いています。メロディーをストレートに吹いているアート・ペッパー(アルト・サックス)の演奏です。

Art Pepper(アート・ペッパー)
THE WAY IT WAS (Contemporary  1957~60)

The_way_it_was_art_pepper

ライナー・ノートはペッパー自身が執筆しています。その中で「恐らく私の最上のプレイのひとつだろう」といっている枯葉が収録されています。いろいろなアルバムの未発表テープを集めたアルバムですが、残りものだとはとても思えません。1957年から60年までの絶頂期の録音だけに音、フレーズ、タイミングなどほれぼれして聞いています。

他の曲目も、「What's New」、「The Way You Look Tonight」などペッパーの得意曲が収録されています。現在こられの曲は、それぞれ発表時のアルバムに追加収録されて、CDとして聴けます。ペッパーは大好きな演奏者なので、久しぶりに「Modern Art」と「The Return of Art Pepper」という定評あるアルバムもワイン片手に聴いてしまいました。これではコレステロールは減りませんね・・・・