Don't Kill the Earth

地球環境を愛する平凡な一市民が、つれづれなるままに環境問題や日常生活のあれやこれやを綴ったブログです

1月のポトラッチ・カウント(5)

2025年01月29日 06時30分00秒 | Weblog
 「よくも武智の家の名を汚したわねと厳しく叱られた夫に妻の操は、どうか善い心に立ち返ってほしい、と懇願するのでした。しかし光秀は瀕死のお母さんにそう言われても
「いや、春永は主君なんかじゃない。あいつの横暴を止めたのも天下のためだ」と聞く耳を持ちません。
 とそこへ、大けがをした十次郎が戻ってきますヽ(´o`;
 ぜぇぜぇと虫の息になってしまった息子に、光秀は非情にも「戦場の様子を語れ!」と命じます。瀕死の十次郎はけなげに語り始め「味方も総崩れですから、どうか早く本国へ落ち延びてください…」と父を案じます。
 皐月は「十次郎はこんなに孝行を尽くしているのに、お前はなんて男なんだ」とさらに光秀を責め、十次郎とともに息絶えるのでした。。

 登場人物中おそらく最も影の薄い光秀の妻・操は、光秀に対し、最後の救いを求めて、
 「善心に立ち返ると、たった一言聞かせてたべ
と懇願の言葉を述べる(これが操にとっては最初で最後の見せ場)。
 これに対する光秀の答えが、終盤における最大のポイントである。

 「「ヤアちょこざいな諫言立て。無益の舌の根動かすな。遺恨かさぬる尾田春長、もちろん三代相恩の主君でなく、わが諌めを用いずして神社仏閣を破却し、悪逆日々に増長すれば、武門の習い天下のため、討ち取ったるはわが器量。武王は殷の紂王を討つ、北条義時は帝を流し奉る。和漢ともに無道の君を弑(しい)するは、民を休むる英傑の志。おんな童の知ることならず、退がりおろうと光秀が一心変ぜぬ勇気の眼色、取り付く島もなかりけり。

 言わずと知れた易姓革命の思想によって自身の行為を正当化するのである(ちなみに、私が観た第2部では、時間の関係だろうか、このくだりがカットされていた)。
 これがおそらく江戸幕府を刺激したのだろう、後に「絵本太功記」は絶版を命じられることとなる。
 だが、筋立ては、「易姓革命」→「因果応報」→「イエの崩壊」というもので、全体としては易姓革命を否定的に捉えているわけなので、幕府の処分は筋違いだろう。
 この後の光秀の慟哭「大落とし」が最大の見せ場であり、ここにおいて彼は、母と息子を同時に失うこととなった。
 以上のとおり、「絵本太功記」尼ヶ崎閑居の場のポトラッチ・ポイントは、「易姓革命」未遂の代償として皐月と十次郎が命を失ったので、5.0✕2人=10.0:★★★★★★★★★★。
 

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