明日できること今日はせず
人形作家・写真家 石塚公昭の身辺雑記
 



退院までどのくらいかかるだろう。と思っていたら、退院の報。常連の声が聞こえたか、天岩戸から真寿美さん登場。拍手で迎える。早い話が熱中症による脱水症状だったらしい。点滴を受け、食事ができるようになり、入院前は少々ぼんやりしていたが、明らかに元気になっている。良かった。心配していた連中も少々浮かれてはしゃぎ気味である。 それでも焼酎注いだり、ホッピーや炭酸水の栓を抜いたりは、当分無理であろう。まずは先代のお母さんが座っていたという場所に、真寿美さんにも座ってもらい、毎日顔を出してもらうのが目標である。真寿美さんや厨房のあんちゃんの負担を考えると、セルフサービスで栓を抜いたり注いだりして、真寿美さんはただ座っていてくれれば良い、という客でないと受け入れられない、ということになる。新たな客は受け入れ難く、会員制のような形もやむ無し。ということになろう。今のところ、超常連が真寿美さんの聖域に入り込み、冷蔵庫を開けたり栓を抜いたりしているが、真寿美さんのようにはいかず、形の悪いことはなはだしいが、飲みに出掛け、これをこなしてまで河本に、というのはよほどのことであり、客というより河本という御輿を担ぎたい人限定、といっても良さそうである。 オフィシャルカメラマンとなって二日目。河本の太陽登場で撮影どころではなかった。河本に行けば誰かしらの顔があり、真寿美さんがいてあんちゃんがいる。そしてホッピーがありチューハイがある。それだけ、といえばそうなのだが、それだけであったら店はこんな風にはならないであろう。店内の細部にレンズを向けてみて、改めてそう思った次第。



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K本こと煮込みの河本だが、女将の真寿美さんが体調不良で、休業状態である。寝たり起きたりで寂しいだろうと超常連だけが顔を出し、自分で焼酎を注ぎ、ホッピーや炭酸の栓を抜いて勘定も済ませ、後片付けもやっていた。その間休業の貼り紙みても、店内から灯りがもれ、話し声が聞こえれば顔をだす客もいたが、そんな状態なので断るしかない。そうこうして、真寿美さんが入院してしまった。幸い大事にいたらず、普段嫌いで食べないはずのおかゆも食べているという。ほどなく退院してくると思うが、店に出ても、以前のようにはいかないかもしれない。河本は、真寿美さんにひと度アウトを宣せられたならば、いかに何十年通った常連だろうと出禁が解除されることはない。しかし今にいたれば、小学生の時から荒っぽい木場のいかだ職人を相手にしていた真寿美さんも、不躾な客に神経磨り減らすのは負担のようである。そこで店を再開したとしても、会員制にすることになった。これも真寿美さんの負担を減らすためである。店の中で、ただ座っていてくれればそれで良い。そんな客に店内が満たされる日も近いだろう。 そんな中、私は河本の正式カメラマンということになった。あくまで客として通っているので遠慮し続けてきたが、これですべてのディテールを納めることができる。30年通い続けた私だからこそ。といきたい。河本といえば煮込みである。他所の店では味わえない河本独特の物である。正式カメラマン就任ついでに厨房担当の“あんちゃん”に由来と作り方を聞いてみたら、衝撃の事実が。一部では居酒屋の聖地とさえ称される河本。まだまだありそうである。なにしろ店内に防空壕が残る店である。



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