明日できること今日はせず
人形作家・写真家 石塚公昭の身辺雑記
 



只今パリにおられる“バレエの伝道師”鈴木晶先生が、1/10のブログで『中央公論Adagio 谷崎潤一郎と人形町を歩く』をご紹介いただいている。ニジンスキーやディアギレフを作る私を“ニジ友”とは光栄のいたりである。そもそも私とは縁遠いはずのバレエダンサーに興味を持ち、バレエを一度しか観たことがないのにニジンスキーで個展を開くという暴挙に出たのは『ニジンスキー 神の道化』(鈴木晶著)を読んだからである。私は子供の頃から人物伝の類が大好きで読み続けているが、読んだだけで個展を開いてしまうほど、のぼせてしまったのは、『ニジンスキー 神の道化』だけである。 協力いただいた鶴澤寛也さんが美人だ、と書かれているが、元バレエダンサーでミュージカル女優に転じた『シド・チャリース』の脚線美を認められていて、私もEbayでポートレイトを落札したりしているシド友?で、こんな著作を書かれたら必ず読みたいと思っていたのが『バレリ-ナの肖像』である。
画像だけで、発表もしないまま改造をくりかえしてきたディアギレフの2体目であるが、これは自信作、と自負して、ソファーまで作り、隣りにジャン・コクトーや、ココ・シャネルなど坐らせてみたいと、いつか開催するはずの個展に備え、仕上げを残して放っておいたのだが、ところが昨年暮れにその頭を見たら、どこが自信作だよ、とガッカリしてしまった。原因は解っている。谷崎潤一郎である。これは作った私にしか判らないことであるが、谷崎を作ったことにより、私の何かが、一段階登ったのである。傍から見てその変化は判らないかもしれないが、長いこと作っていて、数年ごとにしばしば起こってきたことであり、変化のきっかけとなる作品がポイントごとにある。こうしてジワジワと作品が変化してきたわけで、『ああ良かった、自信作などと調子に乗って発表せずに』。胸をなでおろした私であった。

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