明日できること今日はせず
人形作家・写真家 石塚公昭の身辺雑記
 



朝T屋に行くと、珍しく主人のHさん。例によって人一人殺したばかりのような寝起き顔だが、今日は早く起きたか、殺してから30分くらい経った感じであった。カウンターには、今日もタクシー運転手のTさんと運送会社のKさんだが、もう一人、いつも組合の話ばかりしている同じタクシー運転手の某さん。おかげでいつもは愉快なTさんも、真面目な顔で相手をしていた。「今日は2時から新年会で、部長として挨拶しなきゃなんないのに、去年と同じベロベロだよ」。
4時まで制作し、蕃茄さんとK本へ。先日も国立からわざわざ、古石場文化センターの展示を観に来ていただいたばかり。K本や深川を気に入っていただいたようである。そもそも『谷崎潤一郎と人形町を歩く』の鶴澤寛也さんを紹介していただいたのは蕃茄さんである。寛也さんの、美しい着物姿が載っている、最新号の『ミセス』を見せていただいた。ある作家に「黙っていたら日本人形」といわれた寛也さんは、「じゃ、しゃべったらフランス人形?」といったそうである。蕃茄さんと二人、まったく寛也師匠のおっしゃるとおりですね、と語りあった。それにしてもその作家、私達とちがって、思ったことをすぐ口に出してしまうタイプのようである。  次にT屋に行くと珍しくやっている。土曜日はたいていどこかへ飲みに行っているのだが。タクシーのTさんもいる。早朝からずっと飲みっぱなしらしい。蕃茄さんやTさんが帰った後、店を閉めたHさんに、近所の立ち飲み屋に誘われる。モツ焼きで日本酒を何杯か飲んでいると、Hさん、これ飲んでみて?と自分のグラスを勧める。さっきから同じ物を飲んでるのに、おかしなこというな、と飲んだら、ただの水である。「えっ、さっきから水飲んでたの?!」店の人を見ると知らん顔をしている。Hさん、店のそんな仕打ちにも、黙って耐えなければならない理由があるようである。そうか、解った。みなまでいうな。間違いなく酒を飲ましてくれる、次の店に付き合うよ。

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