明日できること今日はせず
人形作家・写真家 石塚公昭の身辺雑記
 



アダージョには珍しく人気沸騰中の人物である。特集場所の大手町には、どう考えても刀を差した男を立たせる場所などない。過去の人物を取り上げるアダ-ジョではあるが、余程効果がないかぎり、安易に過去の人物を現代の風景や人物と絡ませるのは避けたいと考えていた。そこでイメージを優先させてもらい、黒船を迎え撃つために作られた第四台場あたりに龍馬、そこ現れた黒船、という図を考えてみた。 それにしても、一頃に較べれば落ち着いたとはいえ、書店に行けば未だに龍馬関連の雑誌、書籍の類が目に付き、TVでも特集番組を目にする。つまりアダージョはかなり後発ということになる。ブームの前ならいざ知らず、この期に及んで今さら龍馬に黒船でもないだろう、という気がしてきた。  大手町といえば、旧江戸城の大手門がある。龍馬は勿論、江戸城が開かれたことを知らずに死んだわけである。現代の観光客が行き来する大手門に立たせてみたらどうだろう。大手門に行ってみると、当然、ハトバスツアーや外国からの観光客が目に付く。これで決まった。アジア人の観光客が圧倒的な中、いかにもな金髪を捜した。これで黒船を作る必要もない。  いつもはできるだけ、写真に残された人物像と違う状態を心がけるのだが、逆を向いてはいるが、あえて良くあるイメ-ジに準じた。これが太平洋に面した場所に設置された銅像なら、遠くを見る目をして(単に細い目だったという証言がある)日本の行く末を見つめる龍馬像となるわけだが、立たせる場所により、一味違った感慨に耽っているように見えるかもしれない。

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