明日できること今日はせず
人形作家・写真家 石塚公昭の身辺雑記
 



私が根っからのカラオケ嫌いと知っている友人からメールが着た。一緒にカラオケに行ったという、運送会社を今年定年のKさんと、立ち飲み屋のYちゃんは、寺山修司の競馬エッセイに登場する架空の人物『スシ屋の政とトルコの桃ちゃん』のように私がでっち上げた人物ではないか、とさえいう。まあ確かに、そう思われてもしかたないくらい、今までかたくなに拒否してきた。下手な歌を聴くのも聴かせるのもロクなことではないと思っていたからだが、彼など、中学生の時巻き起こったボーリングブームの中、「俺はこんな物一生やらない」と一言いって以来、流れでしかたなくボーリング場に行ってさえ、やらなかった私を知っているから信じられないというわけである。しかし、カメラやパソコンなど、かつて蛇蝎の如くに嫌ったものを使って現在制作しているわけで、つまりやったこともないうちから嫌うからこういうことになる。食わず嫌いという奴である。 ただ人生は非常に短い。やれば必ず面白いであろうと想像つくことも、あえて遠ざけるくらいでないとキリがない。それにただでさえ在るかどうか判らない才能を、砂金をホソボソ掻き集めるように制作している身としては、楽しいことにかまけていると指の間からこぼれていくような気がするのである。その点、運送会社のKさんや、立ち飲み屋のYちゃんとのカラオケは、間違ってもそんな心配がない類の楽しみというわけである。といっても3回やったにすぎないのだが。

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