明日できること今日はせず
人形作家・写真家 石塚公昭の身辺雑記
 



先月田村写真に、柳沢保正さん等、大判古典レンズを愛好する人たちが集うというので、ストラスのピクトリアルレンズを持っていった。当日そのレンズを使って撮影された写真が柳沢さんのブログにアップされている。この日の撮影では絵画調というより絞り気味に撮影されているが、こんな紹介をされて有難いことである。 海外のサイトにも、所有者の私の名前と共に云々されているようなので、そこそこ珍しいレンズには違いないようだが、一方では、このレンズに何でこの日本人は、こんな金額をはたいたか理解できない、という輩もいるらしい。価格を知っているということは、数年前にeBayで競り落とした時見ていたのだろう。というより貴様じゃないのか?食い下がって私に高い金を払わせた張本人は。 このレンズが水晶を溶かした石英レンズだということも知らず、私が鼻息荒くした理由は唯一つ。このレンズを設計、販売したカール・ストラスが、1916年、狂気の兆候をすでに見せ始めた渡米中の天才バレエダンサー、ヴァスラフ・ニジンスキーを、このレンズで撮影しているからである。なんどか書いているので繰り返さないが、ニジンスキーを作った私だけにしか意味がなく、だからどうした、という話であろう。 ストラスはこの時、他の団員をスタジオでカラー撮影をしているのだが、肝心のニジンスキーをカラーで撮っていない。パラマウントのカメラマンとして、撮影技師初のアカデミー賞を獲得など映画界では名を残したが、1カットでもニジンスキーをカラーで撮っていれば、と残念でならない。

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