明日できること今日はせず
人形作家・写真家 石塚公昭の身辺雑記
 



『船の挨拶』では海上保安庁の職員の灯台守が、密航船に銃撃されて終る。毎日通り一遍の船からの信号旗の挨拶にウンザリし、密航船からの銃弾の熱い挨拶に自ら胸を向け、感謝しながら死ぬ。 見張り小屋の風景が、曇天を晴天に変えたため、かえって作り物めいた絵画的風景になった。私の場合は三島が銃撃される役どころになる。 子供の頃TVで三島主演の『からっ風野郎』を観て、演技の下手さに笑ってしまった。どちらが先だか定かではないが『黒蜥蜴』の剥製役も同様である。不器用な三島はプロならたやすい、ちょっとしたことができず、『からっ風野郎』の増村保造監督に怒鳴られどおしだったという。しかし、三島像を作っている今日となっては、その下手さにこそ、たまらぬ味を感じる。振り向いた演技のぎこちなさでさえ、三島の人間性が伝わってくる。こういうのをアバタもエクボ、というのかもしれないが、そうなのだからし方がない。当時三島も含め周囲は監督の増村の仕打ちが酷すぎると憤慨したようだが、今思うと、その後大映テレビにつながる、“下手でもいいからセリフはハッキリ”的な増村監督以外に適任者はいなかったであろう。というわけで、灯台守はぎこちない操り人形のようなポーズで撃たれ、かぶった帽子も芝居がかった調子で落ちていくことになるだろう。 ホームセンターで10リットルのバケツ2つにひしゃくを購入。

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