明日できること今日はせず
人形作家・写真家 石塚公昭の身辺雑記
 



旦那の誕生日のサプライズで、カミさんが友人と落とし穴を掘り、夫婦で頭から落ち、脚を上にして窒息して死んだという。つくづく友人とカミさんは選ばないといけないという話である。まったく馬鹿な話だが、これも子供の頃、砂や土で遊んだ経験がなく、恐ろしさを知らないせいであろう。掘った穴の頭上が崩れたときの怖さは大変なもので、とても動けるものではない。また崩れた穴から突き出た友達の脚を引っ張り出す時の恐怖もまた格別である。ただ引っ張り出そうとしても砂や土が締るので、掘らないとならない。このまま掘り出した方が良いか、大人を呼びに行ったほうが良いか、頭の中は高速回転である。こんなことを経験していればブルーシートで穴を塞ぐことなどしない。隠すための砂で落ち込んでしまうのを防ぐために、止めるための砂が大量にいるわけで、それが上から落ちてきたのであろう。 子供の頃、この落とし穴を見事に塞ぐ子がいて、年下の私など感心して作業を眺めたものである。とてもこの下に道端で轢かれた○や、みんなでしたオシッコが溜めてあるように見えない。ある時作業中のその子が思いついて、「バッテリーで電気流そうか!」といって私達を見上げた。人が何かを思い付いた時の顔を作る必要があったら、私は未だにあの顔を参考にすることであろう。ベトナムでは南ベトナム解放民族戦線いわゆるべトコンが、同じように落とし穴を作っていた頃の話である。

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