明日できること今日はせず
人形作家・写真家 石塚公昭の身辺雑記
 

制作  


『船の挨拶』の海上保安員が密航船からの銃撃を受ける見張り小屋の戸は、原作では引き戸となっているが、わが胸を撃てと突き出す窓は、両側に開け放つ観音開きの方が画になるだろう。原作は一人芝居の戯曲であり、乱歩の『D坂の殺人事件』のトリックに使われたような戸ではないので、画を重視した。鉄の窓枠にガラスをパテで留めた昔の窓を撮影し、それを開いて取り付けた。ここのところ海女一人の尻のために水平線さえ歪ませているが、もともとない、窓枠の影の捏造が難しかった。 数ヶ月前に浜松で撮影したF-104戦闘機は、格納庫に展示していたもので、厄介なことに蛍光灯、白熱灯など様々な光が当たっていた。最終カットは墜落している状態を想定しているので、墜落後に格納庫に収容された、ということにしようと考えていたが、その後海女の尻に苦労したせいか、なんとか海岸に墜落させることができた。といっても背景に波打ち際が見えるだけだが、とにかく04を屋外にひっぱりだすことができた。『潮騒』の最終カット。後は主役を背景にあわせて制作し、画面に入れるだけだが、これはKさんが重要な役割をしてくれており、Kさんがいなければ実現しなかった。

去の雑記
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