明日できること今日はせず
人形作家・写真家 石塚公昭の身辺雑記
 



多少湯を足した水を入れたバケツを屋上に運び、海女役のHさんを待った。房総で撮影した背景は、太陽が真上に近かったので、凡そ、その時間である正午過ぎに撮影しなければ背景に収まらない。昨日同様、午後から天候急変の可能性があるという。久しぶりだというのに挨拶もそこそこに、さっそく磯着に着替えてもらう。ひしゃくで頭から水をかける。そういえばしばらく父の墓参りに行っていない。こういう作業はあまり客観的になってはいけない。まして私はいったい何をしているんだろう、などと考えてはいけない。電車に乗ってやってきて、海女の格好をして頭から水をかけられているHさんの立場がない。Hさんは海女の格好ができたことを面白がってくれているので、こちらとしては大変有り難い。 Hさんと会ったのは、私が初めて写真作品を発表し、ジャズ・ブルースシリーズ最後となった個展会場であった。黒尽くめでヴェロニカ・レイクばりのハーフカーテン、つまりロングヘアーで片目がが隠れるというスタイルで現れ、まるで『さそり』もしくは『スケ番』シリーズに登場する東映女優のようであった。一応いっておくが、これは口を極めて褒めている。だからというわけではないが、私の“海女物”に登場いただいたというわけである。撮影してみると所作が着物を着た女性のようで少々優雅すぎ、田舎の労働する女性感に欠けたが、これは白い肌を真っ黒に日焼けしてもらうことでカバーすることに。 無事終了し、お茶を飲みながら今後の構想などを話し、次回“尼物”があったらよろしく、と幼稚園に娘を迎えにいくという彼女を見送ったのであった。

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