悪寒が走って急に熱っぽくなるような風邪は、気づいた時点で陳健一の麻婆豆腐を食べて寝てしまえばなんとかなるのだが、喉から来る風邪は数日かけてしっかりひいてしまって治りにくい。横でタバコをやたらと吸われ、そのせいで喉がへんだ、と思っていたら風邪であった。横でタバコを吸っていた人物はその日バチが当たり、目が覚めたのは朝七時過ぎ。永代通り沿いのツツジの植え込みの中、靴も脱げた状態だったという。誰も起こしてくれないと文句をいっているから呆れたものである。通勤者からすれば枯れ木じみた死体に見えたことであろう。かかわりは避けたが、あれは生きていたのか死んでいたのか、その日のニュースを気にした人は一人や二人ではなかったろう。
『貝の穴に河童の居る事』の出演者のお一人が、春まで同じ職場だった女性に拙著発刊をお知らせいただいたそうだが、「それにしても河童が怖すぎる」と返信がきたという。表紙だけ見れば「見たな?」といういかにも恨めしげな河童であるが、そいつの腕を自分がステッキで折ってやったのだ。ということまで知らせないと“片手おち”であろう。本日発売の『SFマガジン』ブックレヴューには『人外のものたちが何と生き生きとして愛らしいことか』と書いていただいている。当初不気味な存在として描くつもりの河童が撮影してみたらとても“娘の尻を触ろうとして怪我して神様に仕返しを頼んでいる”ようには見えない純真な表情に、急遽キャラクターの変更を迫られる、という、制作者として、今後に影響しかねない経験をしたのであった。
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