明日できること今日はせず
人形作家・写真家 石塚公昭の身辺雑記
 



久しぶりの古石場文化センター音楽スタジオ。ベース担当の一人が家族サービスということで私とトラック運転手のSさんと2人。 いつだったか、ギターの腕前をなんとかしたい、とインスト曲をコピーをするため、ギタートレーナーという物を買った。曲のデータを入れると、音程を変えずにスピードを変えられる、という物である。ところが今時の機械で、やたら軽くてコンパクトなくせに機能が多くてうんざり。放ったままであった。しかし録音機能があり、音を重ねられることを思い出し持って行った。Sさんは買ったばかりのギター、私はコンデンサーを換えたギターを二本、大きな音でひとしきり。煙草を吸いに休憩のSさんにトレーナーと取り説を委ねる。 思い出すのは、幼稚園からの付き合いのNと、持ち寄ったカセット二台で中学頃から多重録音をしたことである。いかに音の劣化を防ぐかにNは苦心していた。Sさんは録音したことがなく、下手な証拠を残すのは嫌だというが、残さずとも下手な物は下手である。本日はギターをラインで繋ぐので会話等は録音されないが、昔の録音の、面白いのはむしろ口喧嘩である。私がNが間違ってる、と文句をいって口喧嘩になったのを、今聞くと間違っているのは私の方であった。謝るにもNはとっくに亡くなってしまった。あっけなく簡単に録音ができ、近くの居酒屋で打ち上げ。Sさんが“荷物運んでた人がお荷物になってどうする”。といった64になった運送会社の先輩Kさんを呼ぶ?というので、電話して酔っぱらってたら、さっさと切れよ、といったが、ただ寝てたというので呼ぶ。 乾杯の後にKさんに録音を聴かせると「へー凄いなー」。僅か5、6秒でヘッドフォンを置く。この爺いには付き合っているわけでもない、何人もの女性との妄想話を4年以上聞かされ続けている。お愛想で良いから、せめて1分間は聴けという話である。

『世田谷文学館』展示中

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