明日できること今日はせず
人形作家・写真家 石塚公昭の身辺雑記
 



恐怖の振り子設計用コンパスを買う。どうせ今後使うこともないので小学生用で充分である。しかし大きく揺れながら上から迫って来る大きなマサカリのような振り子。良くそんなことを考えるものである。『落とし穴と振り子』は異端審問という設定であるが、無茶な刑具を創作して、単にその恐怖を描きたかっただけ、というような作品である。おかげで私は、そんな物が上から降りて来て、身動きできずに恐怖に怯える男を作れる訳である。エドガー・アラン・ポーがそう書いているので私には何の責任もない。 『黒猫』は、知人が飼っているので、それを撮らせてもらう予定である。送ってもらった画像には、牙を剥き出して威嚇する様子が実に良かったが、聞くとそれは以前の写真で、今は牙は折れて無いそうである。この作品は、アルコールで酩酊した男の被害妄想が引き起こすストーリーである。あげくに猫を虐待し、最後猫に復讐される。虐待シーンがあった方がオチが決まるわけだが、そんな物を制作したことが、入院していた猫が帰って来たばかりのK本の女将さんにバレたら出入り禁止を覚悟せねばならない。ポーに責任をなすり付けて、しかも吊るした首の縄も合成してそう見えるだけで、実際は何もしていません、といい訳しても、何かしら影響は出るだろう。そこまでして、したい表現など私には何もない。 そろそろ個展のことを考えても良さそうである。今回は外光をシャットアウトできる場所というのが条件であろう。何しろ主役がすべて恐怖に怯えた表情である。穏やかな外光に照らされていてはならない。そういえば前回の個展は、主役がすべて死んでいるところか死のうとしているところであった。それを思うと今回のほうがまだマシかもしれない。

世田谷文学館』展示中

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