私がポーに触れたのは、子供向けの小説だったかヴィンセント・プライス主演の『恐怖の振り子』どちらが先かは判らない。テレビドラマの『恐怖のミイラ』はもちろんのこと、怪奇だ恐怖だ博士だ怪人だ◯◯男、等々の単語に過敏に反応する子供であったから、怪奇派の俳優ヴィンセント・プライスやボリス・カーロフ、クリストファー・リー、ロン・チャニーなど大好物であった。同級生の女の子に「フランケンシュタイン描いて」と頼まれれば即座に対応したものである。『恐怖の振り子』の原作は『落とし穴と振り子』である。異端審問にかけられた男が、身動きできないように縛られている。その男の上に刃が付いた大きな振り子が、少しづつ下がって来る。この作品に『危機一髪』という訳書があるくらいで、残念ながら?寸前に難を逃れるわけだが、ポーがそんな場面を書いたおかげで、大きなマサカリのような振り子が大きく左右に振られ、徐々に降りてきて、縛られ恐怖に怯える男。そんな場面を作れるわけである。お礼に恐怖に怯える男をポーにやっていただこう。 5時から古石場文化センターの音楽スタジオ。本日もベースのYさん直前に欠席の知らせ。私は自分のしたいことをするために、まず2人のやりたいことに協力する体で進めるが、2人はヘビメタ好きなのに腕がない、ギター弾きながら歌えない、などの理由で進展しない。だったらこれを、とようやくブルース進行を覚えたSさんに、ジャズっぽいコードを覚えてもらう。生カラオケになってくれれば私はそれで良い。 飲み物を買いに行こうとスタジオの外に出て、分厚いドアを閉めた途端、『スモーク・オン・ザ・ウォーター』のイントロを弾くSさん。私がいる所ではやれなかったのであろう。かつて楽器屋ではみんなあれをやっていた。「物凄く恥ずかしいとこ見ちゃったよ」。高価なギターを何本も持っているのに、安普請の社員寮で、長年一人で音も出さずにいたSさん。「あの音が出るか一度やってみたかったんですよー」。
『世田谷文学館』展示中
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