明日できること今日はせず
人形作家・写真家 石塚公昭の身辺雑記
 



エドガー・アラン・ポーからペンネームを拝借した江戸川乱歩には、出だしで読者を悪夢の世界に誘い込んでおきながら、その結末はどうなの?という作品があるが、世界初の推理小説であるといわれるポーの『モルグ街の殺人』にしても、最初に読んだ小学生の時、犯人はオランウータンかよ。と驚いたが。 先日ブログで触れた作品が『スフィンクス』である。男が窓から外を見ていると、遠くの山を胴体が象ほどもある異形の怪獣が降りて来る。ドクロの印まである。しかしそれは、窓辺の蜘蛛の巣にからまった目の前の蛾であった。という話である。実在するメンガタスズメという大型の蛾はドクロの模様を背負い、鳴き声まで発するようであるが、冒頭ちょっと普通の心持ちではない男という説明はあるものの、そうとう目のピントがおかしな男である。このイメージを、昔再読するまで、子供の頃見た夢だと思い込んでいたから、印象に残る作品には違いない。この作品などは読者が勝手に夢を見れば良いので、それを可視化するなど野暮な行為であり、手掛ければ火傷をする典型的な作品であろう。しかし検索していて、1カットだけ見つけ笑ってしまった。確かに仰るとおりである

 世田谷文学館』展示中

過去の雑記

HOME



コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )