久々に粘土を注文し、うっとおしかった髪を切る。本当はこれを書いた時点で髪は切っていないが、こう書いておけば、K本に行くまでには切らなければならない。 現在、毎日通える超常連だけが顔を出している状態で、片付けから勘定まで自分たちで済ませていて、とても他の客を受け入れられる状態ではない。出てくるのは豆腐半分の冷や奴のみである。K本の皆さん御高齢で、以前のように営業再開することはなさそうである。昨年6月以来冷凍したままの煮込みもどうなることか。 私には女将さんの顔を見られないK本は考えられない。現在の状態は、10人ほどの地下壕での残党の寄り合いの如きものである。風通しが良く、人の出入りがあるのが本来酒場というものであろう。電灯も当たらず、使われる事のない店の奥が最近、増々霞んで見えるのであった。
石塚公昭HP
『タウン誌深川』“常連席にて日が暮れる”第5回