夕方清澄白河にて深川江戸資料館での 『朗読、音楽、スライドで味わう 乱歩と鏡花』の出演者の方々とようやく打ち上げである。興行などの事情はまったく判らないが、どうやら私の主催ということになっていたらしく、ギャラを私が分配し、領収書をいただくことに。GW中はこういう催事は人を集めるのは大変だと聞き、数日前の予約数を聞いて心配したが、蓋を開けたら補助椅子まで出すことになった。有り難いことである。 ピアノの嶋津健一さんと田中完さんとは世田谷文学館以来の再演である。当日も書いたが解釈、迫力ともに段違いであった。私は参加しないが、7月16日にお二人で神楽坂の店で乱歩の朗読ライブをやるそうである。 第2部の『貝の穴に河童の居る事』は語りの竹本越孝さんは朗読は初めて、ということで戸惑われた部分もあったようだが、画期的な物になった。義太夫というと悲劇調しかイメージにないが、越孝さんの河童の三郎の哀れな可笑しさが秀逸であった。鏡花の作品は、流れに任せて読む分にはリズムがあるし良い気分だが、正確に把握して、となると、スライドがあるから判りやすかったが一筋縄ではいかない。私は制作に一年かけて“解剖”したが、鏡花は時間の倒置法とでもいえばよいか、ちょこちょこっと時間をずらし入れ替えるところに悩まされた。今回は直前にリハーサル1回だけということで準備が足らず、私の場面転換にも不備があったが、クライマックスの越孝さんのまさに義太夫調の畳み掛けに、鶴沢寛也さんの義太夫ならではのパーカッシブな三味線は忘れられない。こちらも再演の機会を待ちたい。 いずれ乱歩、鏡花共にユーチューブにアップする予定である。
石塚公昭HP
『タウン誌深川』“常連席にて日が暮れる”第5回