明日できること今日はせず
人形作家・写真家 石塚公昭の身辺雑記
 



最近の手法は陰影を避けるために画面内の物を個別に撮影しなければならないので、面倒ともいえるが、撮るものさえ決まれば、慌てる必要はない。来年の個展は、手元にある作品を一つづつ撮影していけば、間に合うと思っている。しかし、作りながら撮影するという、使う部分の違う物を平行して進めるというリズムが私には向いているようで、つい粘土を注文してしまった。 架空の人物を別にすれば、自主的に作りたいという実在した人物はほとんどいなくなった今、絶対やってはならないと決めているのは、注文があり、依頼がある、と正式に決まっていない物を作り始めてしまうことである。 小説等読んでいると、その間中、映像が浮び続ける。みんなみんながそうではない、と知った時は、かなりびっくりしたのを覚えているが、こんな人物が作品としてあったら、とか、作れますか?と相談された時点で、勿論それがやれば面白そうな場合に限るが、頭の中でムクムクし始める。湧いてしまったら、それを取り出してみたくなってくる。そこで“人間は頭に浮かんだ物を作るように出来ている”という仕組みが私を苦しめることになる。 人はやってはいけないことをしたがるし。食べてはいけない物を食べたがる。

月刊ヘアモード12月号 no・693
不気味の谷へようこそ第9回 脳内イメージを表す人形写真

※『タウン誌深川』25日“明日できること今日はせず”連載5回「芭蕉の実像」

※深川江戸資料館にて九代目市川團十郎像を展示中。11月12日まで。

HP

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