明日できること今日はせず
人形作家・写真家 石塚公昭の身辺雑記
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分岐点となる人物
制作
/
2017-11-29
制作中の人物は、自画像を数種残している。当初初めて見た迫力の自画像を元にしようと考えたが、他の像と比べるとあまりにデフォルメがなされている。自分で描いたからといって信用はできない。こう見せたい、こう見られたいがどうしても入って来る。何しろ敵?は創作者中の創作者である。ではすべてが噓かというと、禿頭の後頭部に残るざんばら髪が、本当の状態を描いているように思える。この人物は、松尾芭蕉についで、画しか残されていない人物である。つまり想像で作れる余地があることになる。そのせいか、頭部の完成は早かった。 私は子供のころから写生が苦手であった。見たまま描くのなら、想像の余地がない。よってつまらない。考えてみると写真に対しての不満も、自作を撮影することを始めるまではそこにあった。そのまま写ってしまうのでは身も蓋もない。この人物が写真が残っていないせいでスムーズにいったのなら、当時組んで仕事した人物も作りたくなってしまった。誰も見向きもしないが、極近所に住んだ記念碑もあるし、鏑木清方も制作している。私の“もう作らない”ほどあてにならないものはない。 現在制作中の人物は、私にとって写実と創作の狭間で、また創作上、分岐点的人物として実に象徴的な人物といえそうである。
2016年
『深川の人形作家 石塚公昭の世界』
より
※
月刊ヘアモード12月号
no・693
不気味の谷へようこそ第9回 脳内イメージを表す人形写真
※『タウン誌深川』25日“明日できること今日はせず”連載5回「芭蕉の実像」
HP
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