明日できること今日はせず
人形作家・写真家 石塚公昭の身辺雑記
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北斎とお栄
制作
/
2017-11-11
葛飾北斎と娘を描いたNHK『眩〜北斎の娘』で、シーボルトから西洋画調の画を注文を受け、それに挑戦しようと北斎が西洋画を研究する場面で、「観たままをそのまま描いていやがる」。つまり日本の常識では、観たそのまま描く物ではなかったということである。あたりまえだが、日本人にも浮世絵のように世界が見えていた訳ではない。私がずっと魅かれていたのは日本人のその創作ぶりである。私は見たままなどまっぴら、と写真を始めた当初から制作してきた。浮世絵、日本画の表現に魅かれたのは必然だったかもしれない。 北斎はシーボルトへの納品を前に「かろうじて遠い近いはある、影もついてる。でもこくがねえや」。遠近感も描かれているし、陰影もある。しかし向こうで発見された北斎の西洋画風作品は、私には気持ちの良い物には見えず、さすがの北斎も、その西洋画指向は志し半ばで、といわざるを得ない。その点娘の応為(お栄)は北斎の死後もそれを踏まえてだか、より対応していたといえるだろう。丸顔の宮崎あおいが演じていたが、実際はアゴと呼ばれるほどのアゴを持った不細工であった。 とか思いながら、私の“灯りづくし”は画面の中に行灯2種、燭台1、ひょうそく1(油を使う灯火器)が無地の背景に置かれている。本日は夜中に手燭(手持ち用の燭台)を撮影する予定である。
おくればせながら昨年の深川江戸資料館の個展
『深川の人形作家 石塚公昭の世界』
の映像がユーチューブにアップされた。昨年のこととは思えず、つい年月日を確認してしまった。タイトルの石塚公昭の世界は恥ずかしかったが、今深川はブランドだから、とともに担当者の意見に準じた。最後の方にミラーボールが映るが、多目的ホールのためである。せっかくなので最終日閉館後回してもらったのだが、総入場者数6810人。私の耳には鳴ってもいない螢の光が聴こえた。
※同じく当館に約半年間展示した九代目市川團十郎像は12日で終了となる。
※
月刊ヘアモード12月号
no・693
不気味の谷へようこそ第9回 脳内イメージを表す人形写真
※『タウン誌深川』25日“明日できること今日はせず”連載5回「芭蕉の実像」
HP
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