明日できること今日はせず
人形作家・写真家 石塚公昭の身辺雑記
 



人形の芯に使う盆栽用のアルミ線届く。 最新作は作ろうと喉もとまで出かかっていた時、T千穂に飲みに来ていたIさんにちょっと洩らしたところ、私が以前見せた作品からの連想なのだろうが、その人物がこんなことをしていたら、と何気なく口から出たのが、私が考えていた画なのであった。これが作ることになる最後の一押しとなった。その後、頭部が仕上げを残し完成し、Iさんが来る頃かと、頭部をポケットに入れて持って行った。それを見せたりしていたが、そこへ奥さんが遅れて来た。すると今日、私が作っている人物の作品を見て来たという。詳しい。こういう偶然や連鎖は制作中に良く起きることなのだが、こんな時はなにがしかの風が吹いているから流れに乗るに限る。週末から作り始めることにする。1体目は、展示を考えずに撮影用に徹するかがまだ決まらない。撮影用なら撮影用で、またやりようがある。写らない所は作らないという効率的なことだけでなく、展示を考えず、全方位的な整合性を無視して制作することが出来る。つまり矢吹丈の前髪、あるいは鉄腕アトムの角的なことも画を優先し可能なことになる。被写体専用の造形は、作家シリーズに転向早々から度々やってきた。被写体制作者と撮影者が同一ならではのことである。

2016年『深川の人形作家 石塚公昭の世界』より

月刊ヘアモード12月号 no・693
不気味の谷へようこそ第9回 脳内イメージを表す人形写真

※『タウン誌深川』25日“明日できること今日はせず”連載5回「芭蕉の実像」

HP

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