明日できること今日はせず
人形作家・写真家 石塚公昭の身辺雑記
 



昨年中に完成させる予定だった蛸と画狂老人葛飾北斎の修正。私のフォトショップは旧くて画像を自由に歪ませるワープという機能が付いていない。友人宅にて蛸に奪われないよう手離さない画帖を、開いたように曲げ、どうしても不満が残った蛸足一本の修正をする。そういえば『貝の穴に河童の居ること』でも、素人である出演者の娘がたった数ヶ月で痩せてしまい、着物にタオルを仕込んだりしたが、どうしても一カット、頬っぺたを膨らませるためだけにお邪魔した。 やはり他所のモニターで見てもバランス的に見て蛸がリアル過ぎ、粘土製着物が浮いてしまう。せっかく作ったが削除だろう。そもそも北斎役に実物のじいさんを起用したのは実物の蛸に対応させるためであったが、そのじいさんが、160センチでなく、もう少し大きければ、手持ちの着物を着てもらって撮影すれば何の問題もなかった。しかし私の中に、北斎の頭部以外にも、私の作った嘘を混ぜてバランスを取りたい、という気持ちがあったことは否めない。虚実のバランスがこれからも私の課題であろう。着物を誰に着てもらうか決まるまで、明日からは遠くの富士を眺める立像の仕上げを急ごう。

2016年『深川の人形作家 石塚公昭の世界』 youtubeより

※『タウン誌深川』“明日できること今日はせず”連載6回「夏目漱石の鼻」

HP

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