明日できること今日はせず
人形作家・写真家 石塚公昭の身辺雑記
 



北斎は筆を一本口に銜え、右手に2本の予定であったが画狂人北斎は過剰な人物ということで3本持たせた。 現在ほど古典技法を試みる人がいなかったころ、オイルプリント初披露の個展会場、始めて見る手法に、解説を一通りするまで来廊者の眼に灯りがともらない、という経験が私は忘れられない。日本人の多くは絵画を観るとき。横のキャプションを読んでから作品に眼を移す。画廊の受付嬢がクスクス笑うほど同じ話しを一日中繰り返し、たまりかねて技法公開のためHPを立ち上げたのが2000年である。 古典レンズを使ったり、絵の具を使うオイルプリントを試みたり、ずっとまことを写すという、身も蓋もなく写る写真にあらがってきた。肝腎なのは自分の中に浮かぶイメージであり、真など一切関わりたくない。よってデジタル時代になり、写真が真を写すための物ではなくなりつつある今日この頃、私にとれば良い時代になった。 そしてここに至り、“人形作って陰影が出ないよう撮影してただ配しただけ”という、実にシンプルな手法に至ったのも目出たい。解説する必要もないだろう。人は出来るから浮ぶのか、浮ぶから出来るのか、少なくともこれを始める前は、蛸に絡まれる葛飾北斎は、思い付きもしなかったし、やれるとは思わなかったであろうことは間違いない。

※2016年深川江戸資料館での朗読ライブ映像。
『人間椅子』
『白昼夢』
『屋根裏の散歩者』
ピアノ嶋津健一 朗読田中完

2016年『深川の人形作家 石塚公昭の世界』 youtubeより

『タウン誌深川』“明日できること今日はせず”連載6回「夏目漱石の鼻」

HP

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