明日できること今日はせず
人形作家・写真家 石塚公昭の身辺雑記
 



先日T千穂にて『蛸と画狂老人北斎』の協力者達に手透き和紙にプリントした完成作品を披露していたら、隣のテーブルの女性から「わあ綺麗」と声がかかった。お目出度気な赤い蛸の色が眼に入ったのであろうか。制作している私自身が辟易とした蛸のグロテスクさが、綺麗といわれるまでに変わった。何よりである。 しかしこの作品、北斎の『蛸と海女』を知らない人からすると、何故蛸が北斎に絡まっているのか意味不明であろう。いや知っていても、だからといって何故北斎にタコを絡める必要がある、と思う人はいるだろう。もっともではあるけれども、私にそれをいってはお終いである。蛸に奪われそうになるのを阻止している画帖には、描きかけのスケッチとして『蛸と海女』を載せたが、蛸が吸い付いている肝腎な部分はフレームアウトさせた。 一作目がそんな有様だったこともあり、2作目は遠くの赤富士を眺める北斎、とごく地味にいってみたい。足下まで入れないので草鞋は後回しにして着彩に入ろう。どうも最近仕上げに時間がかかり過ぎる。早く撮影したい。

銀座青木画廊「ピクトリアリズム展Ⅲ』5月12日(土)〜5月25日(金)20日(日休)

2016年『深川の人形作家 石塚公昭の世界』 youtubeより

『タウン誌深川』“明日できること今日はせず”連載6回「夏目漱石の鼻」

HP

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