明日できること今日はせず
人形作家・写真家 石塚公昭の身辺雑記
 



寒山拾得を手掛けながら、英一蝶の不動明王図と共にムラっと来ていたのが久隅守影の『夕顔納涼図屏風』である。国宝というにはあまりにものほほんとした味わいが良い。夕顔の棚の下にムシロを敷き、夫婦と幼子が夕涼みをしている。木下長嘯子の和歌『夕顔の咲ける軒端の下涼み 男はててれ(襦袢または褌)女はふたの物(腰巻)』をモチーフにしている。だとすると幼子は久隈の創作だろう。 久隈守影は元々狩野派で、同じ狩野派の息子は不業績で島流し、やはり狩野派の娘は、同僚と駆け落ち。その責任を取って守影は狩野派より離脱。そう思って見ると、画面の余白の多さに朧げな月がしみじみとしている。夕顔棚のロケ場所を探し、腰巻一つの女房役に『ゲンセンカンの女』に再びお願いしていたのだが及ばず。背景の雰囲気はともかく、もし作るとしたら、亭主をどこまでのほほんとさせるかだろう。



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