明日できること今日はせず
人形作家・写真家 石塚公昭の身辺雑記
 





絵巻物など顕著だが、日本の絵は、斜め45度上空から見下ろす視点というのも特徴的である。肖像画は上空ではないが角度が斜め45度ばかりである。こちらの場合は一カットでできるだけ肖像の情報を込めようとすれば、そういうことになるだろう。実在者を作る時は写真が一カットしかないのであれば、額、鼻の高さ形も判るそんな角度のカットが一番有難い。判るから夏目漱石はパテで埋めたようにワシ鼻を修正させたことが私にバレ、男のクセに、そんなこと気にしてるから胃をやられるんだよ、などと私風情に文豪がいわれてしまうのである。 そんなことや独特の遠近法など、美術の歴史でも学んでいれば当たり前のことだったかも知れないが、先日書いたが、自分で見つけた物でしか前に進めない私は、余計なことを教わっていたなら、単に可能性を狭めるだけに終わっただろう。一度入った物は出て行かない。それを本気で恐れていたのが幸いした。知識も技術も、必要になって初めて身に付けるべきだと考えており、必要ない物は自由を阻害するだけである。 それにしても、私が真面目に心掛けていたことは、客観的に見ると、ほとんど怠け者の言い訳にしか聞こえないことが非常に残念ではある。もっとも弁解したくとも、根拠もないのに、根拠があるような顔をしているだけなのでしかたがない。



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