枕元の背の低い足つきのお盆の上に、酒の肴とショットグラスを置き、側に読みたい本を積んで、だらだらしている。塗りのお盆は以前オークションで入札したら、明治時代の、何所そこ村の旅館だったか料理屋だったかのものが20近く詰まった箱が届いて慌てたが、完品はそのうち7、8だったろうか。(箱の蓋は、節穴を利用して『屋根裏の散歩者』の天井板に使った)そういえば、同じ頃小型の行灯も入手した。江戸時代の春本は、手の込んだ物になると絵の具を使わず、立体感を出すためだけの版があり、寝床でうつ伏せになって上からではない、低い行灯の光で見ると、エンボス状の立体感が強調されるのだな、と気付いて入手してみたが、当時のものは、何が書いてあるか良く判らない。せめて鏡花でも読めばムード満点だろうと思ったが、蝋燭の光は暗くて、よほどその気にならないと具合が悪い。 正月でなくても、朝T屋に朝食を食べに行くと、仕事明けのタクシー運転手の集団が酒盛りをやっており、ヌーディストビーチで1人服を着ているような気分になり、つい私も、ということはあるが、正月にどうどうと、ぐうたら飲むのはまた格別である。小学生の頃、どこかの王様に幽閉され、食べ物ジュース、粘土や色エンピツ、クレヨン画用紙などいくらでも供給され、宿題や算数などしなくていいから、好きなもの作っておれ。などという境遇を夢見た私であったが、目の前の酒肴は王様でなく自ら調達したものではあるが、人間の性根など、そう変わるものではないな、とほろ酔いの正月である。
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