英語道(トラスト英語学院のブログ)

トラスト英語学院(長野県伊那市)塾長。英語指導や自身の英語学習雑感、趣味のランニングと筋トレについて綴ります(^^)

伊藤和夫先生の先見の明

2017年06月03日 | 英語勉強法
TOEIC200問を2時間で最後までは解き切れている人の割合を示すデータは存在しませんが、990点満点のTOEICで900点以上とれていれば最後まで解き切れていると仮定すると、全体の2%となります。しかし、900点と言っても90点間違ってしまっている訳で、「速く、正確に」読めている人の割合は、おそらく1%でしょう。

TOEICに限らず大学受験でも英検でも、英語を指導していて感じるのは、英文を速く正確に読める以前に、ゆっくりでも正確に読めている人が少ないということです。スピードばかり意識して、ただ単語の意味をつなげているようではいつまでたっても読めるようにはなりませんし、点数や偏差値も上がりません。語学はそんな単純なものではありません。「話す」力やコミュニケーションのための英語力などと言うもっともらしい美辞麗句に踊らされ、従来の「読む」力が軽視されてしまった最近の英語教育の趨勢が、英語を読めない人を生み出しており、それが、日本人の英語力の低下を招いているようになってしまったのは、皮肉なものです。

大学受験英語の指導で先駆的に一時代を築かれた伊藤和夫先生の言葉を、FBの友人が紹介されていたので、私も手元にある伊藤和夫先生の『英文解釈教室』のはしがきを読み直してみました。そこには、すでに数十年前に、現在の状況を予言したような言葉があります。
「訳読中心の学習法を批判することは戦後の流行である。(中略)最近の文法軽視の傾向と相まって、現在の英語教育の成果はかつての訳読中心時代のレベルにも達していないのではないか」

英語学習者よ、今こそ目を覚まそう。

聞き流すだけで英語力が上がれば誰も苦労しません。英単語を覚えただけでも英文は正確に読めません。「話す」力が英語力の頂点にあるのではない。単語だけ覚えても英語力は上がらない。きちんと読めない人は話せません。

安易な道に走らず、確固たる文法力に裏付けされた瞬時に英文構造を見抜く力をつけるべきなのです。


コメント (2)
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