英語道(トラスト英語学院のブログ)

トラスト英語学院(長野県伊那市)塾長。英語指導や自身の英語学習雑感、趣味のランニングと筋トレについて綴ります(^^)

“改悪”へ向かう前に

2019年05月25日 | 2020年大学入試制度改革
先日のエントリでも書きましたように、混迷を極めている大学入試における英語民間試験活用ですが、そもそもの始まりは「中高6年間も英語を勉強しているのに日本人は英語が話せない。だったら、大学入試でスピーキングを取り入れよう」ということが、事の発端でしょう。大学受験で話す力を含めた4技能を課せば、英語が話せるようになるという短絡的な結論に見えます。

しかし、一体全体、どれだけの人が中高6年間に英語を勉強したと言えるのでしょうか。

先月発表された文部科学省の調査では、高3で英検準2級程度以上の英語力がある人は40.2%です。はっきり言って準2級では英語力があるとは言えません。そもそも、高3なら2級(=高校卒業程度)以上でデータを公表すべきなのに準2級なのも納得できません。2級以上で調査すると恐ろしいほど低い数字になるからでしょう(笑)。

以上のことから、日本人は中高6年間で英語を勉強しているとは言えません。たとえ高卒程度とされる英検2級に合格していても、全く大した実力ではありません。中学生で合格する学生は多いですし、合格していても、指導していると「え、その英語力でよく合格したね」と感じる場面に多々遭遇します。英検などの資格試験は学習を進める上での目標にはなりますが、実力を担保するものではないのです。

「中高6年間も英語を勉強しているのに・・・」というそもそもの前提が間違っているのだから、大学入試制度改革が頓挫するのは当たり前なのです。拙速な“改悪”へ向かう前に、今一度ここで立ち止まり、否、従来のセンター試験へと戻る勇気も必要だと考える英語教育関係者は、決して少なくありません。
花壇で手入れされた花々も素晴らしいですが、道端で咲くジャーマンアイリスも圧巻です。毎年変わらず繰り返される自然の強さ。変わらないものにこそ真の強さを感じることが出来ます。日本の英語教育においても、「変える必要がないものを変えない勇気」を持ちたいですね。


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