車載型冷蔵庫 Waeco MDC-90ですが、
冷えない! という時に大切なのは、どこが悪いのか?を診断する方法。
今日はこれについて書いてみます。
これが出来ないと、バカみたいな部品を購入することになったり、へたすると冷蔵庫一式交換なんて~笑えない事態になる。
さて肝心の故障診断の第一はやはりフロントパネルにあるLEDの点滅があるかどうか? で
点滅回数に応じ、基本的には以下の対処が必要になるわけだ。
フラッシュの数が1だと、単純にバッテリーの電圧低下が一番多い。
バッテリーの電圧が正常なら、冷蔵庫までの配線を調べて接触不良がないかを調べる。
フラッシュ数が2だと、フアンの内部ショートや固着なんかが有るけれど、これ付けて国内販売している情報は無いので、まず点灯することはない。
フラッシュ数が3だと、コンプレッサー内部の故障で、これはどうにもならない、ほぼ99%コンプレッサー一式交換が必要。
ただし後述するテストで確認後
フラッシュ数が4だと外気温が高かったりしてコンプレッサーに負荷がかかりすぎて最低回転数が1850回転以下になると表示する。
この場合冷蔵庫を一度停めて、気温が下がるのを待つか、冷蔵庫が落ち着いたのを見計らって
再度運転させてみるかになる。
フラッシュ数が5だと、外気温が55度以上もしくはコントロールユニットの異常加熱、もしくは過負荷状態でコンプレッサーが加熱した場合となる。
これも冷蔵庫の電源を切ってコンプレッサー他加熱部が冷えるのを待つことになる。
外気温が55度以上有れば、それより気温が下がるまで待つ必要がある。
以上LED点滅に応じた対処法であるけれど、ここで勘違いしてはいけないのが、
本当にこうした故障が起きているのか?と言うこと。
僕の車の冷蔵庫が今回壊れてた際に表示されていたのはLEDの点滅が5回という表示で、これだと外気温が普通でコンプレーサーやコントロールユニットが加熱もしていないので、すぐにコントロールユニットの故障だと推測出来たわけだけど、点滅が2回とか1回だとかだと、どうしてもそちらを信用してしまいがちになる。
そこでコントロールユニットのトラブルなのか、それともコンプレッサー他配線含むトラブルなのかを切り分けなければならない。
そこで必要なのがコントロールユニット単体をテストする方法だけれど、これは至極簡単で

のように、コントロールユニットそのものを取り外してしらべるか、冷蔵庫に取り付けられた状態で調べるかになる。
もしテスターと電源があれば取り外してコントロールユニットの+と-(注意 上から3番目の+は違います)に電圧12Vを加え、端子CとTをクリップか何かでショートさせてあげれば簡単にできる。
電源を入れ、CとTをショートさせて数秒後に、コンプレッサーに接続するコネクタへ電圧が出て、
コネクタの三つの穴間の電圧がそれぞれ10V位出ていればコントールユニットそのものの故障である可能性は低い。

注意:実は庫内灯の回路があり、上記の配線と実際は少し異なりますが、外す必要有るのはCPTだけですから、故障診断方法は全く同じです。
この庫内灯の回路は後にアップします。
もし、テスターが無い場合には、LEDの点滅とコンプレッサーの動きで判断することになる。
これも簡単ですから紹介します。
まずコントロールユニットをとりあえずコンプレッサーから外し、コンプレッサーに接続されているプラグを抜きます。

そして端子C P Tに接続されている配線だけ外して他の配線は元の通りにもどします。
気をつけたいのは外したコネクタがどこに刺さっていたのか分らなくならないように、あらかじめコネクタに油性マジックなどで記号を付けておく方が良い。
そして先ほどと同じようにCとTの間をショートさせますが、もしこの時点でLEDが点滅したら、コントロールユニットに問題があります。
基本的にコンプレッサーからの情報を受け取ってコントロールユニットはLEDを点滅させるように出来ていて、コンプレッサーが接続されていないのにLEDがつけばコントロールユニット故障と即分る。
注意 LEDの点滅回数が1回の場合は、電源電圧が低いことが原因なので、バッテリーを新しい物に替えてみるか、充電してから再度テストすること。
これで、LEDが点滅しなければ、次にCとTをショートさせているクリップを外し、コンプレッサーとコントロールユニットを接続して再度同じテストをする。
CとTを再びショートさせて、LEDが点滅するようだと、コンプレッサの故障となる。
これは専門業者による交換作業が必要です。
もし、テスターなどを持っていたら、コンプレッサーから出ている三つのピン間の抵抗を測り、
抵抗がやたらと高かったり低かった場合は内部に問題があると考えてほぼ間違いない、
だいたい2Ωくらいで有れば正常。

以上が故障部位の切り分けと診断方法だけれど、このテストで両方とも問題が無くて冷蔵庫が働かない、冷えない、等の症状が有る場合。
別のところに問題があることになる。
具体的には上記のテストでコンプレッサーが動作する場合はC T Pに接続されているサーモコントロールユニットの故障か、⑧の抵抗配線が駄目と考える。
次の写真だけど

茶色い配線の末端に黒いカバーみたいな物があり、その先端が切れているのが分る、実はこれ
コンプレッサーの回転速度を設定するための抵抗が付いていた。
ところがこの抵抗、その配線が余りにも細すぎて、車の振動で切れ、このカバーで覆われた中で断線していた。
正直、14万も払って買う製品の品質としては最低である。
これが振動などで切れ、カバーで覆われていることから外観からは異常かは確認できないし、まったく冷蔵庫が動かないことから、下手なメンテナンスやっているところや悪質なところだと、コンプレッサー故障ですなんてやられて新品かわされることになったり、コントロールユニットが駄目ですなんて、4万も払わされる。
上記のようにCとTをショートさせて冷蔵庫が動く(この冷蔵庫は非常に静かなので、コンプレッサを手で触るなどして動いていることを確認する)様なら、今書いたようにサーモコントロールユニットの故障か、もしくは今書いた抵抗が駄目になっているということ。
ちなみに、ここにあった抵抗の価は日本仕様だと1523Ω、約1.5KΩで、この設定でコンプレッサーは3500回転となり、素早く冷やすことが可能になる。
もし、この抵抗を替えると、例をあげるなら、抵抗を取り払って直接接続して0Ωにすると、コンプレッサーは2000回転で動き、当然のことながらそれに伴って消費電力は3500回転時の60%程度まで落としてして運転させる事ができる。
当然、消費電流は12V動作で日本仕様定格の4~6アンペアに対して2~3アンペア程度と低くなり、その分サブバッテリーに優しくなるわけだ。
ただし冷えが遅くなる。
冷蔵庫というのは非常に電力を消費する物だから、出来れば電流を押さえたいわけで、その為、スイッチなどを付けて季節により抵抗値を切り替えるようにすれば、無駄なく効率的に運用できる。
話を戻すけれど、抵抗に問題がなければ、そして上記のテストでコンプレッサーが動くようなら、後はサーモユニット(電源スイッチ兼ねた)そのものが駄目という事になる。
これは交換する以外にはないけれど、もし自分なら電子制御にして、最低庫内温度10度ではなく、もっと低温から冷えるようにする。
以上が故障切り分けと診断方法、修理方法だけれど、次回は電子制御化について説明をしたい。
当然簡単にできなければならないが、一応電子工作が必要になるので、自信がない人はやめた方がよい。