帆∞翼(セイル バイ ウイング) -太陽そして風と供に- 

海・南風・そして何より”真夏の太陽”が大好きな翔です。

「よろしく!」  

一触即発

2012年03月01日 | 僕という人間 その他

昨日は大雪。

家のところでは10時頃までに20cm近くつもり、そのあと更に5cmほど積もって、「ここは一体どこだ?」と思うほどだった。

こうなると仕事に行ったは良いが、帰りが危険な上に、へたすりゃ帰れなくなるので、仕方無しに休みを取って雪かきと増築工事の残りなんかをしました。

どんどん有給がなくなる・・・・・・・・・ は~

 

家は袋小路の奥に有り、公道まで約30mほどあります。

いつもの事ですが、近所の家の人達(男)は皆仕事に出かけてしまい、そんな中で僕はいつも一人で道路の雪かきをしているわけですが、昨日は不快極まりない出来事が発生。

さらにそれが、一触即発の状態まで行きました。

下手したら、今日当たりは警察に留置されていたかも知れません。

 

というのは、重い雪をスコップで掻き集めつつ、道路脇の邪魔にならないところに積み上げ作業していたのですが、余にも雪の分量が多い。

それゆえ、いつもより積み上げられて高さが出るのは仕方ない。

捨てる場所などあるはずないし。

 

問題が起きたのは、ある家の前に積んでいた時で、突然 「バカやろう!」と罵声が飛んできた。

「へ?」と思いそちらを見ると、積んだ雪が自分の敷地へ落ちたと怒鳴っているわけだ。

 

確かに、僅かな雪量なれど境界はさんで落ちていたのは解っていたので、僕は「すいません」と素直に謝った。

するとその親父、「てめー」と言い始めて散々罵声を浴びせてくる。

こちらは雪が落ちたのを知っている以上、平謝りで、というのは、この親父、

少し変わっていて、何か気に障るとすぐにその家に怒鳴り込んでは罵声をあびせる常習犯、

簡単いうと、すこしでも気に入らないと、こうして近所の家を恫喝するわけだ。

どの家も、土建屋の親父相手に無用なトラブルなんか起こしたくないし、みな謝る一方だ。

 

その理由が、落ち葉が数枚敷地へ落ちたのが原因としてもだ。

 

この親父、実は近所にえらく嫌われている、なぜなら人の敷地に勝手に木を植える、その木が伸びて公道や他人の家に伸びようがなんだろうが全くお構いなし。

ましてや自分の家に育った植物の葉が道路に散らかろうが、全く知らんふり。

 

以前は犬を飼っており、その犬におもちゃとして洗面器なんぞを与えていたから、犬が起きているときはずっとガランガランと早朝から夜まで騒音がなり続けていた時もあった。

エアコンの室外機が取り付け不良により他人の家に落下しても、謝りもしなければ、しらばっくれる始末。

まだまだ有る、自分の家の駐車場一杯に増築して(明らかに隣地ぎりぎりの、しかも施工方法がいい加減で危険建物。

それにより隣の家の陽当たりが一気に無くなり、建築中にそれを言われても「そんなことあるか~」と”怒鳴り返して”終わる。

と、ほんの僅かな事を書いたが、こんな感じの親父なのである。

 

”いい加減にしろよ・・・”と誰しも思うわけだが、こいつが怒鳴り始めると、そのヤクザみたいな風体もあってみんな怖がるので、だれも言い返せない。

それがますます親父を付け上がらせているらしく、ずっとやりたい放題だった。

もちろん家にも以前怒鳴り込んできたことがあった。

 

そんなわけで、常に穏健、揉め事を避け、ましてや絶対に喧嘩しないというポリシーを持つ僕としては前もそうだったし、今回も頭を下げて謝ることで、何とかその場を収めようとしたわけだ。

何度か謝り、向こうもしばらくは怒鳴っていたが、切り無いので頭をぺこんと下げてそのまま雪かきを続行。

やがて声もしなくなったので収まったかと・・・・

 

その後15分くらい雪を掻き続けていたのですが、公道のT字路付近まで来たときの事。

突然傘をさして親父がこちらに来た、「おいおい・・・・、まだ叱られるのかよ・・・」 と思ったが、近くまで来ると、その親父は、長靴で僕の顔をめがけて雪を蹴り散らしてきた。

僕は顔に付いた雪をぬぐいつつ、再び始まった罵声を耳に、「先ほどは失礼しました」と謝りながら頭を下げる。

すると、だんだん親父が興奮しはじめ、僕は内心「しつこいし、嫌だな~」と。

 

なんとか解ってもらって穏便に済まそうと、「この雪の量ではどうにもなりません、もうそちらの家の境界付近には積みませんから勘弁してください」といった。

すると更にエスカレートして雑言抜刀、言いたい放題汚い言葉を投げかけ、いったい何が言いたいのか全く解らない。

実はこの不景気で親父の仕事が全くなくなっているらしく(以前はよく仕事に行く姿をみた)、近くのスーパーで奥さんがパートし始めたのを知っている。

だけど、この自分勝手な性格じゃ、一番初めに仕事無くなるのは当たり前の事なのですね。

 

相変わらず怒鳴っているので。 「それじゃこの雪をどうすればいいのか教えてもらえませんか?」と口にしたところ、「そんなもん俺の知った事じゃない!」と、今にも掴みかかってきそうな勢いでにまくしたてられた。

「雪なんかほっとけば勝手に溶けるんだよ馬鹿!」、「てめー殺すぞ!」のオンパレード。

さらに僕は説得を試み、

「でもここは小学生が歩くし、回覧版を届けるお年よりも来る、車も入るし、何よりこのままだと、どの家も駐車場に入れないんです。 凍結でもしたら大怪我する人が出る可能性があるんです」というと、

「俺には関係ねー!」と声を荒げ、完全に親父は極限状態。

尚も、「すいませんでした」と謝り続ける僕。

 

みんなの為にやっているのに、しかもその家の敷地に落ちた雪なんかごく僅かな量だ、なぜにこれほど惨めな思いをしなければならないのだろうか。

半分悲しい思いをしながらも、「これで収まれば、誰も嫌な思いをしないし・・・」、そう思って、忍の言葉をずっと飲み込んでいた。

 

 

 

 

ところが次の一言で、さすがに僕は切れた。

「なんて自分勝手な奴なんだ手前は! 馬鹿やろー!」と怒鳴られたわけだ。

 ・・・・・・・・・・・・ 

「どっちが自分勝手なんだ~ うんあ~!」と、その親父の声よりでかい声で僕はどなりつけてしまった。

親父は少し驚き気味で、しかしながら、そのあとぐだぐだ言い返して来たが、そんなのここまでくりゃ~関係ない。

後は殺るか殺られるかだけだ。

訳わからない理屈を捏ね回している親父の声は相当でかく、でも僕の声はそれ以上だ。

 

必死でそれ以上の行動を抑え、でも心の中では早く手を出してくれと願っていた。

むこうが手を出せば、住宅密集地も真ん中でこれだけの声で怒鳴りあいしている以上は、必ず誰かが見ているので証人は出る。

ましてや嫌われ者の親父が逆に怒鳴られている姿は、近所にとって蜜の味だからだ。

同時にこれまでのやり取りの一部始終は近所の全てに聞かれている。

*人を一切あてにしない僕は、あとで誰かが証言してくれる等とは思っていないが、まったく可能性がないよりましだ。

 

格闘技に近いと言われているウインドサーフィン、そしてヨット等のスポーツ、さらに日ごろの筋力トレーニングと武術練習で鍛えた体はこうした時にある。

アドレナリンが出て、全身の筋肉がもりあがってくるのが自分でもはっきり分った。

同時に、このままやりあったら、親父を殺してしまうかもしれないという思いが起き始めた。

「それでも構わないか?」そう心で繰り返し問答しながら、尚もできる限り大声で、正論をかましつつも脅しの言葉を織り交ぜて放つ。

すると、それまで大声だった親父のこえがだんだんと小さくなり、おかしなことを言い始めた、「そんなに大声出すと恥ずかしくないのか?何とか・・・」

「誰が出させているんだ?」いったい。

 

更に「年上に向かって失礼だろ」とか「若造のくせして生意気だ」とかなんとか。

しかし、ここまでくればこっちはそんな事は関係ない、尚も早く手を出してくれと願うばかりで、ますます自分の声がでかくなっていくのが自分でも分る。

ふと、親父の口に目が行くと、声が上擦り始め、震えが多少出始めているのに気が付いた。

「怖いのか?俺が・・・」 そう思ったとたん、こちらの戦闘意識が失せた。

 

すぐにバカバカしくなり、そのままスコップを手にとって雪かきを再開するそぶりをみせたところ。

その親父はますます声が小さくなり、最後に「こんどから気をつけろ、バカヤロー」と捨て台詞を吐いて背中を向けた。

その言葉と姿を見ていた僕、「すいませんでした」と最後に一言。

この瞬間、涙が出そうになった。

発端はあくまでも僕の落とした雪、それが原因である以上は、どんなに相手が失礼でもこれだけは筋を通さねばならない。

更に言うなら、確かに年上の人間相手に途中から恫喝・威迫状態になってしまったのは、まがいもない事実。

「なんでこんな嫌な思いをしなければならないんだ?」と、僕は思う。

全ての人が少しずつ譲り合えるだけで世の中は良くなるのに、自分の利益を最優先にしたり、互いが権利を主張しあう世の中ほどすさんだものはない。

ましてや近所という狭い空間の中で、周りに恐怖を与えることで自分がやりたい放題するなど、もってのほかなのだ。

この親父が、今回のことをきっかけにそれまでの自分の立場が崩れたことをどう理解して解釈しながら収めていくかは分らない。

すくなくとも、この親父と僕のあいだの力関係は明らかに逆転したわけだ。

 

これ以上こじれない事を心から願うが、この出来事は、結局互いに不快を呼んだだけで得るものなど無く、寝るまで僕は嫌な気持ちだった。

 

余にも悲しすぎる一日であった。